欧州

2024.05.13 09:30

ウクライナ軍がハルキウ方面への増援強化 ロシアの「陽動」にはまる懸念

そもそも、ロシア側は本格的な攻勢を意図しているわけではなさそうだというのが、フィンランドの軍事アナリスト、ヨニ・アスコラの見方だ。アスコラは、ロシア軍によるハルキウ方面の「攻勢」は周到な陽動であり、ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク州とルハンシク州)の2つの主要な攻勢軸であるチャシウヤール方面とアウジーウカ方面からウクライナ軍の一部部隊を引き離すのが目的ではないかと推測している。ロシア軍は昨年後半以来、両方面で多大な損害を出しながら攻勢を続けている。

アスコラによれば、ロシア軍は陽動によってウクライナ軍に部隊の配置転換を強い、「東部での主要な攻勢への対抗に使用できる予備兵力を減らす」ことを狙っている可能性が高い。

もしそうだとすれば、ロシア軍の作戦は目的を達成しようとしている可能性がある。

ウクライナ軍はハルキウの北方面を守る領土防衛隊の部隊を増援するために、まず陸軍の第42独立機械化旅団を送ったもようだ。ウクライナ軍の将校デニス・ヤロスラウスキーによれば、さらに陸軍の第57独立機械化旅団と第92独立強襲旅団、国防省情報総局のクラーケン連隊も同方面に移動しているという。

ウクライナ軍参謀本部は動揺しているようだ。まさにそれこそロシア側の狙いかもしれない。フロンテリジェンス・インサイトは「ロシアは国境を越えて脅威が迫っていると住民に信じ込ませ、社会にパニックと不安をもたらすことを意図しているとみられる」と述べ、こう続けている。

「ウクライナ側がこれらの地域(ハルキウの北方面)へ部隊を移動するように仕向けることで、ロシアはドンバス地方におけるロシアの戦略目標にウクライナ側が注力するのを乱そうとしている」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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