2人ともこの共通する記憶に熱中し、車内は笑いで満たされ、かつての2人の日々が新鮮にこだまする。共有する歴史と愛情の温かみを感じながら、あなたは若返り、深くつながった気持ちになる。
音楽には文化や世代を超える驚くべき力がある。強い郷愁を呼び起こし、多くの場合人生の特定の時期につながっている記憶や感情、大切な関係を次々と引き出す。
音楽に誘発された郷愁(ノスタルジア)がもたらす科学的に裏づけられた3つの効果を以下に紹介する。
1. 困難な時期の回復力と喜び
人生で予期せぬことが起きたとき、ひとときの郷愁がうってつけの逃げ場所になることがある。音楽に誘発された郷愁が、ある種の自己調節機能として働き、心の癒しをもたらすことでストレスや悲しみなどの困難な感情に対する緩衝材になることを複数の研究が示している。青年期と成人早期の記憶が特に鮮明に感じられるこの「レミニセンスバンプ」と呼ばれる現象が、若いときに聞いた音楽がなぜこれほど私たちの感情に強い影響を与えるのかを説明している。
懐かしいメロディーが気分を向上させるだけでなく、楽観的な気持ちや人生の満足感を高めることを研究者らは明らかにした。この効果は、困難な時期に特に明白だという。
Frontiers in Psychologyに掲載された2021年の研究は、新型コロナウイルス感染症によるロックダウン中に実施され、人が孤立感と不安な気持ちに対処するために懐かしい音楽に頼っていたことを示した。郷愁が心理的学、生理学的両方の心地よさの体験と相関があり、耳慣れた楽曲が、楽しい日々を思い出させ、逆境から立ち直る感覚を育むというのは興味深い。
危機にさらされた際、過去の確かなことを振り返ることで、全体的な幸福感を高める意義と目的を得ることができる。過ぎ去った楽しい時間を思い出すことは、今の悲しみが一時的なものであるという信念を植えつけ、未来を期待させる力強い感覚をもたらす。