鳥インフルエンザが人から人へ感染する事例はまれにあるが、米国では確認されていない。米国の事例は、人間がウイルスに感染しているとみられる動物と直接接触したことで発生した。
では、鳥インフルエンザが動物の間でまん延していることを考えると、私たちは次のパンデミック(世界的大流行)を心配すべきなのだろうか? 絶対に起こらないとは言い切れないが、鳥インフルエンザはまだ人間への感染力は強くないようだ。パンデミックの発生にはさまざまな条件が必要だが、中でも人から人への持続的な感染拡大が重要な要素となる。鳥インフルエンザの場合、その心配はまずない。もちろん、これは鳥インフルエンザウイルスが変異することで変わる可能性もある。変異はウイルスが複製し、環境と相互作用しながら別の動物に感染していく過程で常に起こり得る。
今後特に注意深く観察すべきことは、鳥インフルエンザが豚の間で広がるかどうかだ。豚は人間のインフルエンザと鳥インフルエンザの両方に感染する性質を持つため、豚の体内で両ウイルスが混合される可能性があるからだ。理論的には、これにより、人間に感染しやすい変異株を作り出すことができる。
米クリーブランド・クリニックは、一般的な人間のインフルエンザの治療に使われる抗ウイルス薬のタミフルが、鳥インフルエンザが人間に感染した場合にも有効だとしている。米疾病対策センター(CDC)は、鳥インフルエンザが将来、人間の間で大流行する可能性は低いとしながらも、万が一の場合に備え、米政府がワクチンの開発を進めていると説明している。当面は、動物や人間への感染を注意深く見守っていく必要がある。
(forbes.com 原文)