SPACECOOLは、太陽光や大気からの熱をカットして、同時に蓄積した熱を放射冷却の原理で宇宙に逃がすことで、夏のエアコンの電気代を大幅に削減するというもの。実験では、最高気温が35度近くになる日の朝8時から夕方6時まで、鉄板、日射反射塗料を塗った鉄板、SPACECOOLフィルムを貼り付けた鉄板を直射日光に当たところ、鉄板の温度は最大で80度に達したのに対して、反射塗料は約45度、SPACECOOLは30度前半と、なんと外気温を下回った。
たとえば、竹中工務店とセイリツ工業の共同開発によるSPACECOOLフィルムを全面に施した屋外分電盤は、機器内の温度は電気を使わずとも外気よりも10度近く下がるという。屋上などに設置された分電盤は、夏の暑さで故障することが少なくない。2025年大阪・関西万博のガスパビリオンではSPACECOOLを屋根全体に使用する予定だ。また現在は、頭部の温度が通常の日傘よりも3度ほど低くなるという、木陰の涼しさのSPACECOOL日傘のクラウドファンディングをCAMPFIREで実施している。
開発者でSPACECOOL代表の末光真大氏は、2017年、大阪ガスに勤務していたときに放射冷却を活用した素材の開発を思いつき研究を開始した。当時は社内でも懐疑的な声があったというが、苦労の末に商品化の目途が立ち、2021年に同社を創業した。
東京都交通局は、品川自動車営業所の屋根にSPACECOOL防水シートを施工し、5月1日から9月30日までの夏期にどれだけ電力を削減できるかを実験する。このシートの首都圏での実証実験は初めてとのことだ。
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