仏紙ル・モンドの英語版は2月に、ホテルの価格は通常より高いものの、住宅を所有する人々が自宅を貸し出そうとかなりの数の物件をAirbnbのリストに載せたため、初期に見られた目もくらむような価格にはなっていないと報じた。参考までに、フランス観光局によると、五輪期間中のパリ大都市圏での1泊の平均価格は昨年9月時点で759ユーロ(約13万円)だったが、同一条件下で2月には522ユーロ(約8万8000円)まで下がっている。
仏ニュース専門チャンネルのユーロニュースは4月22日に、保険会社Réassurez-moiは昨年7月に、同4月時点で五輪期間中の宿泊が1泊1023ユーロ(約17万円)だった部屋が1泊436ユーロ(約7万3000円)になっていると指摘したが、現在の価格は昨夏よりも下がっていると報じた。オンラインで予約できる宿泊は毎月3000〜3500件加わっていると考えられている。
価格が下がったもう1つの理由は、各競技団体が五輪主催者との取り決めに従って一定数の宿泊を確保していたが、計画が明確になるにつれて1月下旬からその一部を市場に戻し始めたことだ。これにより、ホテルは一般客の予約を新たに受け付けられるようになった。競技団体は2月と3月にも確保していた宿泊を減らした。
米ブルームバーグ通信の報道によると、五輪期間中の高級アパートの貸し出しをサポートしているエージェントの多くは、顧客であるアパート所有者に過度な期待は抱かないよう促しており、需要は望んでいたほどではないと報じている。競技会場にほど近い、良い状態のアパートだけを引き受けるという、取り扱う物件をかなり絞っているエージェントもある。超高級アパートの所有者にとっては、価格があまりに下がると貸し出すメリットがなくなってしまう。
例として、広さが100平米もある豪華物件は現在、週1万ユーロ(約168万円)ほどで取引されているが、数カ月前は2~3倍の価格だった。短期賃貸のデータをまとめているAirDNA(エアディーエヌエー)によると、パリにある寝室4つまたは5つのアパートの3分の2がまだ予約可能だ。
ホテル市場を専門とするコンサルティング会社、In Extenso(イン・エクステンソ)のオリビエ・プティはル・モンドに、ロンドン五輪の時も同じようなことがあり、開催前の数カ月で価格は下がったが、それでも1泊の料金は通常の2倍だったと語った。通常、7月のパリのホテルの平均価格が202ユーロ(約3万4000円)であることを考えると、この指摘は理にかなっているようだ。
五輪は大規模なイベントで、他にもまだ多くのことが不確定だ。パリ市の当局者らは、セーヌ川の汚染がオープンウォータースイミング競技を実施できるレベルに改善されるか気を揉んでいる。開会式が近づく中、今からでも観戦と宿泊を検討できる。
(forbes.com 原文)