新たなJホラー、「フェイクドキュメンタリー」はなぜ人気? テレ東で新番組

(左から)映像作家の皆口大地、テレビ東京の大森時生、映画監督の寺内康太郎

観ていると“怖さ”に気づいてゾグっとする、不気味なフェイクドキュメンタリーが人気だ。

「貞子」や「呪怨」のような王道のジャパニーズ・ホラーとは違い、「このテープもってないですか?」(BSテレ東)、「フェイクドキュメンタリーQ」(YouTube番組)など、一見普通の番組だけれど、じわじわ怖くなる作品である。

こうした映像のホラートレンドを牽引するのが、昨年のForbes JAPAN「30 UNDER 30」受賞者でテレビ東京の大森時生(「このテープもってないですか?」「SIX HACK」「祓除」)。そして、映像作家の皆口大地(「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリーQ」)、映画監督の寺内康太郎(「フェイクドキュメンタリーQ」「心霊マスターテープ」)である。

この度、カルト的な人気を誇る3人が、第2回日本ホラー映画大賞を受賞の近藤亮太とともにテレビ東京の新プロジェクト「TXQ FICTION」でタッグを組むことが発表された。4月29日深夜にスタートする第一弾「イシナガキクエを探しています」の放送を前に、制作背景や昨今のフェイクドキュメンタリー事情を聞いた。


——「TXQ FICTION」とは何ですか?


大森時生(以下、大森):今回、テレビ東京の特別番組として4月29日の深夜に放送するのですが、個人的には長期プロジェクトにしたいと考えています。不気味なテレビ番組として「ほんとにあった怖い話」、奇妙系で「世にも奇妙な物語」(いずれもフジテレビ)が有名ですが、それらに続くフェイクドキュメンタリーのスタンダード枠として「TXQ FICTION」を育てていきたいです。

第一弾の「イシナガキクエを探しています」は、タイトルからお察しの通り人捜しモノ。内容についてはそれ以上言えませんが……、今回はこれまで手掛けてきた作品とは少し違っていて「フィクションとして面白いフェイクドキュメンタリーをつくること」を意識しました。
「TXQ FICTION」より Ⓒテレビ東京

過去作品の「Aマッソのがんばれ奥様ッソ!」(2021年)や「このテープもってないですか?」(2022年)などでは、リアルな番組に完全に擬態したうえで、しだいにフェイクドキュメンタリーならではの温度差を見せていって面白さをつくるという手法を取りました。「奥様たちのバラエティ番組かと思ったら、実はホラーだった」といった具合です。

それが本作では、始めからフィクションだということを打ち出しています。フェイクドキュメンタリーを、あくまでフィクションとして制作しました。皆口さんと寺内さんが手掛ける「フェイクドキュメンタリーQ」(2021年〜)にもインスパイアされました。

——元々コンテンツを通してお互いをご存知だったのだと思いますが、3人が初めて会ったのはいつですか?

大森:1年半くらい前に中華料理を食べに行ったときですね。僕と皆口さんとがとあるメディアで対談をした際に、寺内さんも一緒にごはんでも行きましょうとなって。その時に2人を番組制作にお誘いしました。振り返ればその会ですでに「イシナガキクエを探しています」の構想ができていましたね。
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文=田中友梨 写真=小田光二 画像提供=テレビ東京

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