働き方

2024.05.02 12:30

テスラ、X、米政府 最近の成功・失敗例に学ぶ危機管理コミュニケーション

米メリーランド州ボルティモア港で起きた橋崩落事故について記者会見するウェス・ムーア知事(Getty Images)

米連邦政府・州政府

危機にあたって頻繁にコミュニケーションをとることで、政府が状況に対処すべくあらゆる手段を講じているという安心感を一般市民や利害関係者に与え、また危機対応や危機からの回復のために人々が必要とするであろう情報やリソースを共有できる。

ブリーフィング

2024年3月に米メリーランド州ボルティモア港で発生したフランシス・スコット・キー橋の崩落事故の際、州および連邦政府当局は報道機関向けのブリーフィングをたびたび開き、復旧・救出作業について情報を提供した。

ウェブサイト

テスラやXの例とは異なり、メリーランド州のウェス・ムーア知事、沿岸警備隊、国家運輸安全委員会、その他の州・連邦政府機関のウェブサイトは、崩落事故に関する情報やコメントを求める記者が当局の担当者や報道官に問い合わせやすいよう配慮されていた。危機の性質次第では、一般向けウェブサイトが大いに役立つ。
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ムーア知事は4月11日、崩落事故対応ウェブサイトの開設を発表。「メリーランド州民が崩落事故に関連した連邦政府・州政府・地方自治体の情報や制度を検索するための総合ハブ」と位置づけた。

このウェブサイトには、事故対応本部からの救出・緊急対応情報、州交通局による最新の交通状況や通行止めの注意喚起、州内の511交通情報サービスへのリンクも貼られていた。

透明性の重要さ

「一般市民や利害関係者と頻繁にコミュニケーションをとることの重要性は、どれだけ強調しても足りない」と、広報の専門家でコロンビア大学、ジョージ・ワシントン大学、セントラル・フロリダ大学で非常勤講師を務めるテナイス・ウィリアムズは指摘。次のように助言する。

「人々は透明性を求める。とりわけ危機に伴う不確実な状況に置かれているときはそうだ。適切に対処しなければ、事態をめぐる論調は手に負えなくなる。沈黙や不十分な情報開示は、憶測、うわさ、不信感を招く。問題に正面から向き合い、コミットメントをくりかえし強調し、行動を明確に説明することが何よりも大切だ」

主要なメッセージを優先する

組織にとって危機における情報共有は不可欠だが、過剰な情報共有や頻繁すぎるコミュニケーションにも気をつけなくてはならない。
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戦略コミュニケーションエージェンシー、Fionix Consulting(フィオニクス・コンサルティング)の創業者でCEOのジェシカ・M・グラハムは「過剰な情報共有や、コミュニケーションの過多といった事態も起こり得る」と述べている。

「危機におけるベストな対応は、話を短く切り上げることだ。時に組織は、不必要な情報共有を続け、意図せず報道合戦をあおってしまうことがある。過剰な情報共有は発信するメッセージを混乱させ、目下の問題から話題が脱線する原因になりかねない。危機の最中には、簡潔で直接的なメッセージにとどめるのが最善だ」と、グラハムは結論づけた。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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