AI

2024.04.23 08:00

今後、AIが引き起こす「電力戦争」

つまり、蒸気船からジェット機への移行のようなものだ。適応しなければ、企業は急速に衰退する。都市や国も同様だ。

過去50年間で世界がどれほど変化したかを考えてほしい。中国は生まれ変わった。東南アジアは好景気に沸いた。インド、中東、南米、そして今ではサハラ以南のアフリカの一部も同様だ。コミュニケーションはほとんどの人にとって即時かつ手頃な価格のものになった。資本は完璧ではないが、驚くほど上手くチャンスへと集まっている。さて、この50年間の変化が10年か20年に圧縮されたらどうだろう。これが今、私たちが足を踏み入れている世界だ。

AIの加速を止めるものはあるだろうか? 政府は安全とセキュリティを口実に、混乱を恐れる古い企業と手を組んで、阻止しようとするだろう。しかし、この話は歴史の中で何度も繰り返されてきた。進歩は必ず道を見つける。障壁を乗り越えられなければ、飛び越えたり、迂回したり、トンネルを掘ったりするだろう。

だが、破るのがそう簡単ではない障壁の1つが電力だ。AIは電力を消費する。それも、想像以上に大量に消費する。世界はすぐに電力不足に陥るかもしれない。

米国時間3月7日、ワシントン・ポストは「爆発的な需要の中、米国は電力不足に陥っている」と題した記事を掲載した。

同メディアはは次のように述べている。「電力を大量に消費するデータセンターやクリーンテクノロジー工場が全国に急増し、公益事業者や規制当局は、老朽化した国の電力網を拡張するための信頼できる計画を模索している中、米国の広大な地域が電力不足のリスクに直面している【略】バージニア州北部では、計画中および建設中のすべての新しいデータセンターにサービスを提供するために、いくつかの大型原子力発電所に相当する電力が必要とされている」

AIの時代には、もっと多くの電力が必要になるだろう。将来の繁栄のためにも同様だ。その電力を供給するための競争が激化している。企業、国、都市は、利用可能で信頼性が高く、手頃な価格の電力を求めて競争するだろう(そして銅は電力に不可欠な鉱物となっている)。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事