海外

2024.05.03 08:00

牡蠣を使って海洋汚染を監視、仏のスタートアップ企業

「我々は人工河川に油を混入してテストを行い、濃度の違いによる貝の反応と反応速度を調査した」とキノーは話す。従来の計器は、3週間ほどで洗浄が必要になり、高いコストをかけてボートとダイバーを派遣しなくてはならない。しかし、モルスキャンアイが使用している貝は3年以上生き、自ら洗浄する。

エネルギー大手も実験に参加

このバイオモニタリング・ソリューションは、頻繁な水質調査が必要な状況において安価なソリューションになるとキノーは言う。例えば、石油掘削施設や石油化学プラントでは、水質を毎日チェックする必要があるだろう。

フランスのエネルギー大手TotalEnergies(トタルエナジーズ)とのパイロット・プロジェクトでは、年間数百万ドルものコスト削減を達成した。このソリューションが価格優位性を発揮しないケースは、水質調査が四半期に1回程度しか行われない場合だ。しかし、最大のコスト削減につながるのは、水質汚染が悪化する前に早期発見することだ。

動物を用いたバイオモニタリングに取り組んでいるのは、モルスキャンアイだけではない。シンガポール政府の支援により行われた2017年の研究は、「動物は、自然災害に対する早期の警告を提供する以外にも、バイオテロリズムのような社会的災害に対する早期警告を提供することが可能だ」と結論づけていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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