UNDER 30

2024.04.12

欧州版「30 UNDER 30」2024、ファイナンス部門の受賞者たち

Mara Schmiedt wears wool tank sweater by AllSaints. (LEVON BISS FOR FORBES)

世界のファイナンス業界はここ1年の間、金利の高騰や資金調達の停滞、スタートアップの評価額の減少などの困難な状況に直面した。それでもフォーブスが4月9日に発表した2024年の欧州版「30 UNDER 30」の金融部門の受賞者たちは、この状況を乗り越えようとしている。

2024年の本リストは、激動する資本市場で成功を収め、欧州経済の未来を切り開く若き創業者や投資家にスポットを当てている。

その1人が、Coinbase(コインベース)に2年間務めた後に自身の暗号資産スタートアップを立ち上げた29歳のMara Schmiedt(マーラ・シュミート)だ。彼女の会社のAlluvial(アルービアル)は、イーサリアムの投資家がステーキングと呼ばれる手法で、長期的な利益を得ることを支援している。同社は、Bitgo(ビットゴー)やコインベース、Fireblocks(ファイアーブロックス)などの業界大手が、イーサを保有する投資家に銀行の普通預金と同様の利息を支払うためのソフトウェアを構築している。

しかし、2023年にステーキングに用いられたイーサの総量は、供給量全体の25%に過ぎないと報じられている。この分野の課題は2つある。その1つは、ステーキングを実行する際のスピードが遅いことで、もう1つはステーキングから得たコインを取引するためのプラットフォームが、コインベースなどの大手に限定されていることだ。シュミートによると、Alluvialのソフトウェアはスピードと流動性を提供し、ユーザーがステーキングで得たコインを、同社と連携するあらゆるプラットフォームのユーザーとリアルタイムで取引可能にする。

フォーブスは本リストに選出するメンバーの条件を、2024年4月9日時点で29歳以下で、北米やアジアを含む他の地域で、過去に本リストに選ばれたことがない者に限定した。そして、外部の独立した専門家の審査を経て選ばれた今年の他の受賞者には、投資家や株主が上場企業の財務情報に瞬時にアクセスできる人工知能(AI)を活用したプラットフォームを開発したスタートアップQuartrの27歳の創業者のSami Osman(サミ・オスマン)が含まれている。
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編集=上田裕資

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