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2024.05.03 09:00

トップ研究者が集結、「幹細胞治療のOpenAI」を目指すSomite.ai

Getty Images

一方、クラインをはじめとする研究者たちは、分子生物学や工学、統計学、コンピューターサイエンスのツールを統合し、1個の受精卵から多くの種類の細胞や組織、臓器が生まれ、それらが組み合わさって身体を作る過程を解明することに成功した。この研究によりジェームズ賞を受賞したクラインは、「我々の技術は、これまで専門家が主導していた発生生物学をデータサイエンスに転換する基礎となるものだ」と話す。

AIと生物学の融合

細胞分化と組織発生の解明が進んだことが、今日の細胞補充療法へと繋がっている。「細胞補充療法は、これまでに発明された中で最も洗練された治療法だ。薬物を細胞に投与するのではなく、感知や反応、組織形成、再生などができる生きた細胞そのものが治療法なのだ」とクラインは言う。彼によると、CRTは大きな可能性を秘めている一方で、そのプロセスは非常に複雑だという。
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大きな課題は、不要な細胞の混入を最小限に抑えることと、再現性が高く、目的の細胞タイプを大きな規模で得られる段階的な命令セットを見つけることだ。この目標を達成するために、主に「直接プログラミング」と「分化誘導」という2つのアプローチが用いられる。

「遺伝子編集戦略は非常にエキサイティングなビジョンだ。細胞を最終地点まで持っていくことができれば、あとは細胞自身が全てを解決し、生理学的に正常になる」とクラインは話す。しかし、Somite.aiは細胞が発生する過程で通過する1つ1つのステップが、最終的な機能とアイデンティティを形成する上で重要であるという考えから、よりゆっくりで安全な分化誘導のアプローチをとっている。

細胞分化と組織発生を理解するためのデータリッチなアプローチの開発や胚のデジタルツイン作成に加え、多くの研究所で生成されたデータが蓄積されるようになったことで、近年になってデータ量が爆発的に増加している。例えば、単一細胞のRNAシーケンスから得られるデータは、半年ごとに倍増している。
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そこで大きな影響をもたらすのが、AIの活用だ。「データ自体にも価値があるが、それらを体系的に活用する方法を考えなければならない。また、データを継続的に更新し、直ちに学習できるシステムにフィードバックする必要がある」とクラインは話す。

Somite.aiは先日、プレシードラウンドで530万ドル(約8億円)を調達したと発表した。このラウンドはTechAvivがリードし、Next Coast VenturesやTrust Ventures、Texas Venture Partners、Lerer Hippeauなどが参加した。同社は、米食品医薬品局(FDA)が認可した治療法を商品化までスムーズに進めることを目的とした職種、トランスレーショナル・サイエンティストを2名採用している。Somite.aiは、筋ジストロフィーや肥満、糖尿病など、細胞集団の損失や欠乏を伴う幅広い疾患の治療法をターゲットとしており、今後2年以内に第1相臨床試験を開始する予定だ。

「医療の未来はAIと生物学の融合にある」とブレイクストーンは語る。このビジョンを実現する上で鍵となるのは、人間の知能と複数の科学分野の融合、そして鋭い洞察力だと言えるだろう。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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