クロスによると、コンプライアンスはボーダーレスAIにとって必須要件であり、法律パートナーであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)やノートンローズフルブライトと協力して検索したデータの整理方法を微調整するなど、モデル用の知識をキュレートしているという。「我々が今一番注力しているのは、業界最高水準の信頼性と正確性を持つAIモデルを構築し、企業の国際的な採用ニーズに応えたサービスを提供することだ」と彼は話す。クロスは、EOR市場が2028年まで毎年10億ドルの成長が見込まれるというIECグループのデータを示し、ボーダーレスAIは他のシステムとの統合を進めると述べた。彼によると、中小企業にとっては、スピードとコストがより大きな課題だという。
ボーダーレスAIを導入した小規模なフィンテック・スタートアップであるAffinitiが良い例だ。同社は、インドやトルコ、カナダのエンジニアを採用するのにボーダーレスAIを利用した。
異業種からの参入
クロスはボーダーレスAIを創業する前、領域が全く異なるペットシッターのマーケットプレイスGoFetch.caを設立し、2018年に事業を売却している。彼は、ボーダーレスAIを設立するに当たり、面識のなかったアガーワルにコールドメールを送って自己紹介をし、共に同社を立ち上げた。2人は、それまでの仕事でグローバル採用の難しさを目の当たりにしていたという。彼らは、同じくトロントに本拠を置くコヒアを提携パートナーとして選んだが、その理由として、データの安全性に重点を置いていることと、データの検索と提示の方法が優れていることを挙げる。コヒアでプロダクト担当ディレクターを務めるジョナサン・ローゼンブルースは、「企業のHR部門にとって、情報源を確認できることが重要だ」と指摘する。彼によると、コヒアは顧客企業に引用情報を提供しており、顧客のプライベートデータでモデルをトレーニングすることはないという。「我々は、モデルを通じて流れる情報や、トレーニングに使われるデータにアクセスすることはできない」とローゼンブルースは語った。
(forbes.com 原文)