実例に学ぶ、部下のやる気を引き出すために必要なこと

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リーダー格の社員たちの上司となる企業幹部が、人のやる気を削ぐタイプの人物だった場合、生産性や職務の遂行にマイナスの影響が生まれるのはよくある話だ。しかも、非常に多くの場合、やる気を削いでいる側の上役は、自身にこうした行動上の問題点があることにまったく気づいていない。

筆者は長年にわたって企業幹部向けのコーチングを行ってきたが、こうした非常に重要な事柄に対し、漠然としたフィードバック以上のアドバイスを得ているリーダーはほとんどいない。企業幹部は、実践上のステップや改善方法について、多くを教わっていないのが現状なのだ。

この問題に対処するにはどうしたらいいのだろうか。以下では、事例を交えながら紹介していこう。

「自分の考えに、他の人はそれほど興味がない」ことがわからない企業幹部たち

「退屈で、人のやる気を削ぐ企業幹部」と聞くと、無味乾燥なトピックについて抑揚のない声でぼそぼそと喋る人物、というイメージが浮かぶだろう。だが実際には、こうした幹部の本質的な特徴は、「自分の話を聞いている相手」に対する意識が欠けていることだ。

企業幹部が退屈な印象を残すとしたら、それは多くの場合、「自分にとって重要なことは、他の人にとっても重要だ」と信じ込んでいるせいだ。こうしたタイプの上司は、人の話を聞くよりも自分が話すことが多く、出席者に問いかけることもほとんどない。スライドを読み上げたり情報を淡々と報告したりするだけというケースが多い。それなのに、「なぜ聞き手たちはこんなに静かなのか?」「ミーティングに活気がないのはなぜだろう?」といぶかしがるのだ。

「退屈」の反対語は「好奇心」

では、もっと人のやる気を引き出す人物になるにはどうしたらいいのだろうか? まずは、「自分の話を聞いている人たちは、自分の話していることには関心がない」ことを前提にしよう。こちらとしては、「他の人にとっても重要に違いない」と思う話題を話している場合でも、そう考えておくべきだ。

このような、自分に対する冷淡な視点からスタートすると、必然的に、聞き手に対してより深い興味を持ち、より的確な問いを投げかけよう、という気持ちになる。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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