番付から脱落した「元億万長者」には、エスティローダー相続人のゲイリー・ローダー、ゲーム会社セガサミーホールディングス代表取締役会長の里見治、シラチャーソースで知られるHuy Fong Foods(フイフォンフーズ)の創業者デービッド・トランなど、有名ブランドの経営陣も含まれている。
脱落者が圧倒的に多かったのが中国だ。経済成長の鈍化、不動産市場の供給過剰、海外投資の減少、地政学的緊張の高まりなどのあおりを受け、香港とマカオも合わせると133人の名前が番付から消えた。その中には、炭酸飲料「元気森林」の創業者である唐彬森や、経営危機に陥った不動産大手、恒大集団の許家印会長、中国の裁判所から資産凍結命令を受けた非鉄金属大手、正威国際集団の王文銀取締役会長がいる。
一方、世界で最もビリオネアが多い米国からの脱落者は8人にとどまり、日本(6人)、ロシア(5人)がそれに続いた。
業種別では、最も打撃を受けたのは製造業で、中国・上機数控の楊建良やロシアの肥料会社経営者から投資家に転身したピョートル・コンドラシェフら、49人がビリオネアではなくなった。ヘルスケア業界でも、中国の製薬会社や医療機器メーカーの経営者ら21人が脱落した。
人工知能(AI)ブームで10人以上の新たな億万長者が生まれたテック業界からも、20人の億万長者が消えた。たとえば、この1年間で株価が39%下落したコールセンター会社TDCXの創業者ローラン・ジュニークや、米アップルなどの音響部品の製造元で家電需要の低迷により苦境にあるGoertek Inc.(歌爾股份)の姜龍だ。
このほか、イタリアのベルルスコーニ元首相、チリのセバスティアン・ピニェラ前大統領、米インテル共同創業者のゴードン・ムーア、投資家のチャーリー・マンガー、シンガーソングライターのジミー・バフェットら32人が死去した。