「置き薬」でアフリカの人々の健康を支えるプロジェクト

プレスリリースより

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江戸時代から伝わる日本独自の薬の販売方式である「置き薬」を、アフリカの家庭に広めるための活動が行われている。目指すは54カ国、約15億人の人々に健康を届けることだ。

置き薬は、1600年代、越中富山藩二代目藩主、前田正甫の奨励で始まったと伝えられている。現代は薬事法上「配置販売業」と呼ばれ、販売員がさまざまな薬の入った箱を家庭に置いていき、利用者は後日、使った分だけ料金を支払う。つねに薬がある安心感と、後払いという便利さがウケて全国に広まった。

「医薬品の提供を通じてアフリカのすべての人々へ当たり前の医療を届けたい」というミッションのもと、アフリカと日本をつなぐソーシャルビジネスを目指すNPO法人AfriMedico(アフリメディコ)は、アフリカの人々の健康を維持する方法として、数あるビジネスモデルのなかから置き薬を選択した。まずは比較的治安のいいタンザニアの農村部で展開を開始し、現在は5つの世帯が導入を決め、希望中の世帯が10以上あるという。

AfriMedicoの設立は、代表理事で薬剤師の町井恵理氏のアフリカでの体験が発端となった。青年海外協力隊員としてニジェールを訪れたとき、ある母親から病気の子どもを病院に連れていきたいので200円欲しいと頼まれたが、お金を渡すより病気の予防や医療知識を与えるほうが村の人々の未来につながると考え、お金はあげない決断をした。だが次に村を訪れたとき、その子どもは亡くなっていた。あのときお金を渡すべきだったのか、しかしそれが本当の解決方法になるのか、と悩んだ末に「継続的に回せる仕組み」を作ろうと同NPOを立ち上げた。

現金の持ち合わせが少なく、欲しい薬が手に入りにくいタンザニアの農民たちには江戸時代の庶民と共通する部分があり、置き薬が適していた。基本的に料金は現金での回収となるが、モバイル決済が普及している地域では、後払いに限らず、払いたいときに払うアフリカ型の置き薬のスタイルも検討しているという。置き薬ボックスには、現地で調達した鎮痛剤、咳止め、かゆみ止めなどの薬が入って1箱1500円ほどで設置できることになっている。

資金はおもに講演会などの活動収入や寄付で賄われているが、このプロジェクトを推進する目的で、AfriMedico TSUNAGUブランドを設立。昨年6月より、第一弾としてBANSOKO(絆創膏)の販売を開始した。アフリカの子どもたちがアーティストのミヤザキケンスケ氏とのコラボで描いた「けがや病気になったときに元気にしてくれるもの」というテーマのアート作品がデザインされている。

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文 = 金井哲夫

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