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2024.03.31 16:00

AIの画像解析で「性病の早期発見」謳うアプリの謎だらけの実態

安井克至
このデータには、5つの陰茎疾患のオリジナル画像と合成画像の両方が数千枚含まれており、オリジナル画像はインドやスリランカ、シンガポール、オーストラリア、米国、英国の医師から入手したと、HeHealthの資料には書かれている。しかし、5つの疾患の画像で訓練されたCalmaraのAIモデルがなぜ、10以上の疾患の存在を特定できるのかは不明だ。フォーブスはまた、モデルとその有効性が外部のレビューで確認されたという証拠を見つけることができなかった。

HeHealthのチームはさらに資料の中で「インターネット上で自由に利用できる画像をダウンロードするための、特製のウェブスクレイピングツール」を開発し、一部の画像を「北米で主に使用されているアプリから公募を通じて入手した」と説明している。クララスニはフォーブスの取材に、アプリの画像は、参加者の同意を得てトライアルのために入手したものだと語った。

送信した写真はどうなる?

一方で、ユーザーが送信した写真はどう管理されるのかという問題がある。Calmaraの立ち上げ当初、画像はAWSのサーバーに一定期間保存されることになっていた。しかし、世論の反発を受けてルーとクララスニはそのポリシーを変更し、現在では、性病のスクリーニングが終わると、画像は自動的に削除される。

一方、HeHealthは画像を含むユーザーデータを保存していると2人は述べている。同社のプライバシーポリシーによると、ユーザー情報の一部は外部のパートナーと共有されるため、フォーブスはユーザーの画像がAIモデルの改良に使用されるかどうかを尋ねた。すると彼らは、写真の共有については否定したが、提携している医師がユーザーから提出されたすべての画像を確認し、彼らの「フィードバック」がモデルの再学習に使われていると説明した。これとは別にフォーブスは、HeHealthがベイエリア周辺に拠点を持つ定額制医療サービスCityHealth(シティヘルス)と提携していることを確認した。

シティヘルスの広報担当のキャシー・チューは、同社がHeHealthのユーザーに医療相談を提供していると述べた。「アプリが患者の陰茎部分をスキャンし、認定プロバイダーがスキャンを確認できるため、医師と患者の両方にとって便利なものになる」とチューはフォーブスに語った。

専門家はHeHealthとCalmaraのアプリのプライバシー管理に懸念を示している。医療倫理を専門とするハーバード大学法科大学院のグレン・コーエン教授は、フォーブスの取材に「彼らのウェブサイトにはゴーストモードやシークレットモードと記載されているが、それがどの程度プライバシーを保護するものなのか、私には十分な情報がない」と述べた。
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編集=上田裕資

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