HeHealthのチームはさらに資料の中で「インターネット上で自由に利用できる画像をダウンロードするための、特製のウェブスクレイピングツール」を開発し、一部の画像を「北米で主に使用されているアプリから公募を通じて入手した」と説明している。クララスニはフォーブスの取材に、アプリの画像は、参加者の同意を得てトライアルのために入手したものだと語った。
送信した写真はどうなる?
一方で、ユーザーが送信した写真はどう管理されるのかという問題がある。Calmaraの立ち上げ当初、画像はAWSのサーバーに一定期間保存されることになっていた。しかし、世論の反発を受けてルーとクララスニはそのポリシーを変更し、現在では、性病のスクリーニングが終わると、画像は自動的に削除される。一方、HeHealthは画像を含むユーザーデータを保存していると2人は述べている。同社のプライバシーポリシーによると、ユーザー情報の一部は外部のパートナーと共有されるため、フォーブスはユーザーの画像がAIモデルの改良に使用されるかどうかを尋ねた。すると彼らは、写真の共有については否定したが、提携している医師がユーザーから提出されたすべての画像を確認し、彼らの「フィードバック」がモデルの再学習に使われていると説明した。これとは別にフォーブスは、HeHealthがベイエリア周辺に拠点を持つ定額制医療サービスCityHealth(シティヘルス)と提携していることを確認した。
シティヘルスの広報担当のキャシー・チューは、同社がHeHealthのユーザーに医療相談を提供していると述べた。「アプリが患者の陰茎部分をスキャンし、認定プロバイダーがスキャンを確認できるため、医師と患者の両方にとって便利なものになる」とチューはフォーブスに語った。
専門家はHeHealthとCalmaraのアプリのプライバシー管理に懸念を示している。医療倫理を専門とするハーバード大学法科大学院のグレン・コーエン教授は、フォーブスの取材に「彼らのウェブサイトにはゴーストモードやシークレットモードと記載されているが、それがどの程度プライバシーを保護するものなのか、私には十分な情報がない」と述べた。