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2024.03.15

同級生から「ディープフェイクポルノ画像」被害の米女子高生、親子で規制強化運動

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2023年10月20日、米ニュージャージー州の高校2年生だったフランチェスカ・マニ(当時14)は、クラスメートの1人がオンラインサービスを利用して、自分の顔を女性の裸体に組み合わせた写真を作成したことを知った。顔写真が使われたのはフランチェスカだけではなかった。ウェストフィールド高校の関係者は、フランチェスカと複数の女子生徒に、同じクラスの複数の男子生徒がフランチェスカと女子生徒のディープフェイクのポルノ写真を作成し、Snapchatの自動消去されるメッセージで写真を拡散したことを知らせた。

それから数週間のうちにフランチェスカの件は広く知れ渡った。その後、フランチェスカと母親のドロータは、そうした同意のないディープフェイクのポルノ写真に関する規制を求めるロビー活動を州レベルと連邦レベルの両方で開始した。2人は地元選出のトム・キーン共和党議員から招待を受けて、このほど連邦議会で行われたジョー・バイデン大統領の一般教書演説に出席したりもした。

だがドロータがフォーブスに語ったところによると、事件から5カ月近くになろうとしているが、写真を拡散したとされるウェストフィールド高校の男子生徒たちは、そのうちの1人が1日停学となっただけで、何ら大きな処分を受けていないという。現在に至るまで、この男子生徒らはドロータやフランチェスカに直接連絡していないとも指摘した。

ドロータの説明によると、昨年10月20日にスクールカウンセラーがフランチェスカに、男子生徒4人がフランチェスカのディープフェイク写真を見たことを認めたと説明した。同様に被害を受けたウェストフィールドの同級生(名前は非公表)が、写真合成に関与したとされる男子生徒の1人を相手取って起こした訴訟によると、学校の副校長は被害を受けた女子生徒の母親に「この件について学校の事務室に呼び出された生徒の1人が、女子生徒のヌード写真を見たことを学校関係者に認めた」と話したという(男子生徒の弁護士、クリストファー・アダムスはフォーブスのコメント要請に応じなかった)。

ドロータによると、ディープフェイクのポルノ写真を作成したとされる男子生徒たちは全員、ニューヨーク市から西に約48kmのところにある同校に今も通っており、フランチェスカと同じ授業をいくつかとっているという。

「彼らは女子生徒たちがいる廊下を歩くべきではない」とドロータは話した。

ウェストフィールド公立学校の広報担当者であるメアリー・アン・マクガンは、フォーブスに寄せた電子メールで「生徒に関することは機密事項であるため、関与した生徒の数や処分についての具体的な詳細は明かせない」と述べ「学校側は学区の生徒行動規範に基づき、ただちに調査を行った」とも指摘した。

3月12日に公表された約3ページにわたる証言の文書で、ドロータは学校側への不満を説明。同日午後には連邦議会下院の小委員会でディープフェイクポルノの惨状について証言し「早急な立法措置」を求めた。

「(フランチェスカは)自分がAI被害者の1人だと知らされた瞬間、心細さと無力感を感じた」とドロータは議員らを前に話した。「そして、男子生徒たちが女子生徒たちを笑い物にしているのに気づいた。その瞬間、彼女の悲しみは怒りに変わった」
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翻訳=溝口慈子

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