経済・社会

2024.03.25 13:15

日米が「軍事協力」を強化、中国の脅威に備え新協定に調印へ

Getty Images

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米国と日本は来月、新たな安全保障協定に調印し、1960年の日米安全保障条約の改定以降で初めて二国間の同盟を再構築する見通しだという。この動きは、中国と台湾の間の緊張が高まり、北朝鮮が日本と韓国の国境海域で軍事演習やミサイル発射実験を続ける中でのこととなる。
 
このニュースを最初に報じた英フィナンシャル・タイムズによれば、日本の岸田文雄首相は4月10日にホワイトハウスを訪問し、公式晩餐会に出席する予定で、その際にバイデン大統領とともに新たな協定を発表する計画という。
 
新たな防衛協定は、在日米軍の司令部により今より多くの権限を付与することになる見通しだ。現状では、在日米軍司令部は、ハワイにある米インド太平洋軍と作戦を調整する必要がある。
 
日本は、米軍にとって最大の海外派兵先の1つであり続けており、推定5万4000人の軍人や4万5000人の扶養家族、8000人の民間契約者を受け入れている。日米の両政府はまだ、この新たな協定についてコメントしていない。
 
この新たな安全保障協定に、他に何が含まれるのか、またこの協定が日本が自国の防衛力を高めることにどれだけ依存するのかは不明だ。

日本の軍事費の増強

第二次世界大戦後、米国の後押しを受けた日本国憲法は、平和主義を打ち出し「日本国民は、国権の発動たる戦争を永久に放棄する」と明記し、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と付け加えた。しかし、安倍晋三元首相は2015年に日本の軍隊が「集団的自衛」に参加することを認める画期的な法案に署名。日本は、2015年以降に着実に軍事費を増やしており、2023年には、防衛費を増額して2027年までに国内総生産(GDP)の2%を占めるようにすると誓約した。米国のブリンケン国務長官はこの動きを称賛した。
 
一方、中国は一貫して日本の軍備増強を非難しており、安倍元首相による2015年の法案を「前例がない」と呼び、日本政府に「歴史の教訓を学ぶ」よう求めている。ルイジアナ州の米国立第二次世界大戦博物館は、日本との戦争(1937年に始まり、1945年に日本が連合軍に降伏して終結)で約400万人の中国軍兵士が死亡し、2000万人から5000万人の民間人が犠牲になったと推定している。
 
日本が台湾との関係を強化する中、ここ1年で日本の中国の間の緊張は大きく高まった。日本は、中国が自国の領土の一部とみなしている台湾と正式な外交関係を結んでいないが、ロイターは昨年9月、日本の防衛省が台湾に事実上の防衛駐在官を常駐させたと報じている。
 
日本の外務省は1月、台湾の頼清徳総統の当選を祝福し、中国政府をさらに怒らせた。政府は、公式声明で台湾を「重要なパートナーであり、重要な友人」と呼んだ。

日米が懸念する「安保上の脅威」

今回の新安保条約のニュースは、米国のインド太平洋軍トップ、ジョン・アキリーノ司令官が「中国は、2027年までに台湾を侵略する準備を整える」との見解を示した数日後にもたらされた。
 
ここ数年、中国は台湾領空で戦闘機を飛行させ続けており、台湾上空の米軍機の近くで「攻撃的な作戦行動」さえ行っている。日米両国はまた、北朝鮮の軍事訓練やミサイル発射実験にも懸念を抱いている。北朝鮮は最近、韓国の島の近くで数百発の砲弾を発射し、住民を避難させていた。
 
forbes.com 原文

編集=上田裕資

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