アジア

2024.03.21

中国は2027年までに台湾侵攻の準備を整える 米司令官

米ワシントンの国防総省で記者会見に応じる同国インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官。2023年10月17日撮影(Celal Gunes/Anadolu via Getty Images)

米インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官は20日、中国軍が2027年までに台湾に侵攻する準備を整えるとの見方を示した。

共和党主導の下院軍事委員会に出席したアキリーノ司令官は、中国人民解放軍が2027年までに台湾に侵攻しようとする習近平国家主席の目標を達成しつつあることを「あらゆる兆候が示している」と証言。中国は2020年以降、2230億ドル(約33兆7200億円)超を費やし、戦闘機400機以上と軍艦20隻を追加したほか、弾道ミサイルと巡航ミサイルを倍増させたと報告した。中国軍は近年、海上封鎖や航空封鎖を含む、台湾に対する作戦を模擬訓練しているという。

米国のアブリル・ヘインズ国家情報長官は昨年、超党派の下院情報委員会で、中国が戦争を望んでいるとはみていないと述べた。米政策研究機関スティムソンセンターのユン・スン東アジア共同部長も英紙ガーディアンの取材に「軍事的な備え」が中国の攻撃を促すことはないとの見解を示した。米NBCニュースが関係筋の証言を基に報じたところによると、中国の習首席は昨年、米国のジョー・バイデン大統領に対し、台湾を中国に統一する時間軸は設定していないと語っている。

一方、台湾の呉釗燮外交部長(外相)は昨年、同国は中国の軍事的脅威を極めて深刻に受け止めているとし「2027年は私たちが真剣に取り組むべき年だ」と強調した。米軍のカイル・アモンソン少佐とデーン・エグリ退役大尉も昨年、統一が平和裏に達成されなければ、中国は2027年までに台湾に侵攻する用意があるとの見方を示唆。習首席は2030年までに台湾を中国本土に統一するための「手段を講じる」だろうと述べた。

米国と同盟国は近年、台湾と中国の軍事衝突の可能性に備えてきた。台湾は直接選挙で総統を選ぶ自治島だが、中国政府は台湾を自国領土の「神聖かつ不可分の一部」と見なしている。台湾と米国の関係が深まる中、中国と米国の関係は近年悪化している。英ロイター通信によると、米国のドナルド・トランプ大統領(当時)は2016年、台湾の蔡英文総統と会談した。これは1979年以来初となる米台首脳会談となった。バイデン大統領は2022年、中国が台湾に侵攻した場合、米軍が台湾を防衛するとした一方、今年初めには、米国は台湾の独立を支持しないとの立場を表明している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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