アメリカのアウトドア企業のつくる味噌。そのキーワードは、「耕さない農法」と「ソーラーシェアリング」だ。一体どのようなものなのか。
「耕さない農法で大豆をつくっていますが、一般的な農法と同等か、それ以上の出来栄え及び面積当たりの収穫量でした」
そう語るのは、千葉県匝瑳(そうさ)市の有機栽培農家 Three little birdsの佐藤真吾だ。Three little birdsは栽培面積の約10%で、不耕起有機栽培での大豆や麦の生産に挑戦しており、パタゴニアは研究者らとの共同研究や畑作業のボランティアなどをサポートしながら協同している。
農業といえば土を耕すのが一般的だが、不耕起栽培は土を耕さずに農作物を育てる。耕さないので、畝はなく、雑草が生え、どこからどこまでが農作物なのか見分けがつきづらい。ミミズがたくさんいて、虫たちも飛び回っているのが印象的だ。
「一見、何もやってないように見えますが、有機肥料を与えて草刈りを計画的に行っています。でもそれだけですね。ただ草刈りはすべて手作業なので、なかなか大変。今は三連の草刈り機械を試作してもらって楽になりましたが、最初は一連の草刈り機だったので、パタゴニアのスタッフにも手伝ってもらいながら、何とか収穫までもっていけました」
畑を耕さないと何が良いのだろうか。まず、土の中の微生物や動物(ミミズなど)が住みやすくなり、その畑で育った植物を、そのまま刈り敷いて活用することで、畑のなかで循環をつくることができ、土が年々肥えていく。トラクターを使わず、電動の草刈り機を使うので、環境負荷も軽減できる。
さらに土を掘り起こさないことで、植物が取り込んだ二酸化炭素を炭素として土中に吸収し、固定を促進できるので、CO2の削減にも寄与する。炭素は土中の環境を整える役割を果たしてくれるので、願ったり叶ったりだ。