米国時間8月20日の取引時間中、エヌビディア、インテル、パランティアが中心となり、ハイテク株全般が下落した。背景には、トランプ政権がバイデン政権時代のCHIPS法(米国内での半導体生産を支援する法律)の下で連邦補助金を受ける企業に対し、政府による株式取得を行う可能性があるとの報道があった。
ロイターによれば、商務長官ハワード・ラトニックは、CHIPS法に基づいて半導体メーカーに交付される補助金と引き換えに、米国政府がそれら企業の株式を取得する計画を検討しているという。
政府がどの程度の株式を求めるのかは、現時点では不明である。
ラトニックは19日の夜、米国政府がインテルの株式取得を検討していると述べた。これに先立ち、ホワイトハウス報道官のキャロライン・リービットは、約104億ドル(約1兆5300億円)に相当するインテル株式の10%を政府が取得する可能性について、協議中であると述べていた。それが実現すれば、政府が同社の最大株主となる可能性がある。
ロイターはさらに、政府がマイクロン、TSMC、サムスンなど、CHIPS法による資金を受け取る予定の他の企業にも株式取得の要請を拡大する可能性があると報じた。
ナスダックは20日正午ごろまでに、約290ポイント(1.3%)下落した。エヌビディア(2%安)、インテル(7%安)、パランティア(5%安)、AMD(2%安)、ブロードコムが中心となり、ハイテク株全般の売りが加速した。他にも、マイクロン(5%安)、テスラ(3%安)、アマゾン(2.1%安)、アップル(1.6%安)、マイクロソフト(0.8%安)なども下落している。また、アジア市場では半導体メーカーのTSMC株が2%超下落した。
通常、米国政府が企業の株式を取得することはないが、2008年の金融危機では政府がGMやAIGなど一部の金融機関や自動車メーカーの株式を取得した経緯がある。歴史的に政府が株式取得を進めたのは、1970年代後半のクライスラーや第二次世界大戦中の防衛関連産業など、金融不安時に限られてきた。一部の経済学者は、米政府が株式を保有することで納税者がリスクにさらされると懸念する一方、政府による投資が産業を押し上げると主張する者もいる。
ドナルド・トランプ大統領はバイデン政権時代のCHIPS法を繰り返し批判し、廃止をちらつかせてきた。3月の議会合同会議での演説では、CHIPS法を「とてもひどいものだ」とし、「数千億ドルの補助金を渡しても何の意味もない。彼らは政府の金を受け取るが、それを使わない」と述べた。
以前、ラトニックはCNBCのインタビューの中で、「バイデン政権はインテルに、そしてTSMCに文字通りタダで金を渡していた。それ以外のすべての企業にも、タダで金を与えていた。ドナルド・トランプはそれを、『金を渡す代わりに株が欲しい。我々が金を出すなら取り分を持ちたい』に変えたのだ」と語っていた。
また、19日にはソフトバンクがインテル株を23ドルで20億ドル(約2960億円)分購入する契約に合意したと発表した。



