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2024.03.21

Win版Chromeで表示される警告のようなMSのポップアップ、狙いと問題

Getty Images

あなたが世界で10億人を超えるWindows版Google Chromeのユーザーの1人なら、最近、マルウェアがブラウザをジャックしたかのような警告を受けたことがあるかもしれない。しかしこれはマルウェアによるものではない。

マーケットを支配するグーグルのChromeは、10億人以上のWindowsユーザーのデフォルトブラウザになっている。そして、そのほぼすべてのデフォルト検索エンジンはグーグルだ。

この状況はマイクロソフトを苛立たせているようであり、なぜ(マイクロソフトの)Windowsユーザーが、ブラウザに(マイクロソフトの)Edgeを使わず、検索エンジンに(マイクロソフトの)Bingを使わないのか、その理由を同社は理解していないようだ。そして彼らはこの状況を変えたがっている。

先月私は、Mozilla(こちらもブラウザ市場でChromeの後塵を拝している) が独自の調査を行い、WindowsのChromeユーザーに対して、Chromeをインストールすると「Edgeに切り替えましょう」というバナーとポップアップで溢れかえることを警告したことを報じた。同じレポートでは、Bingのメッセージもこれらのユーザーを標的にしていると警告している。

その1カ月後、再びそれは起きた。最初に報じたWindows Latestによると「マイクロソフトはサーバーサイドのアップデートを行い、一部のChromeユーザーを騙してBingをデフォルト検索エンジンにさせようとした」。Redditなどでも、新しいBingのポップアップはひどく苛立たしく、マルウェアのようだと警告している。そのポップアップは安全であり、マルウェアではない。これは、ChromeユーザーをGoogle検索からBingに乗り換えさせようとするしつこい広告であり、別のタイプの問題だ。

The Vergeによると「マイクロソフトはこのポップアップが本物であり、一度しか表示されないことを確認した」という。同社の広報担当者は、Chromeユーザーは、Copilot(別名ChatGPT)のプロンプトという形で、マイクロソフトの無料サービスが提供されていると示唆している。。「当社はお客様に選択肢を与えることを大切にしているので、そのような通知は無視できるようになっています」

マイクロソフトの説明とは裏腹に、ネットにはこのBingのプロモーションが、先のEdgeのしつこいアピールを再現したものになっているという書き込みもある。そこにはEdgeがChromeの設定をユーザーの許可なくコピーしているという説明もあったが、それはマイクロソフト側のミスであり後に修正された。

問題はもちろん、マイクロソフトのバナーやポップアップが単なるマーケティングではなく、OSの通知としてWindowsユーザーに表示されることだ。Mozillaのレポートは「ChromeのダウンロードページでEdgeのプロモーションメッセージを見たユーザーは、驚き、心配になるかもしれない。なぜならばバナーは通常のものと異なるため、非常に重要なものに違いないと思うからだ」と指摘している。
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翻訳=高橋信夫

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