キャリア

2024.03.27

芸歴最年少の「M-1 王者」令和ロマンの予測不可能な未来の歩き方

令和ロマン (松井ケムリ 髙比良くるま)

Forbes JAPAN 2024年5月号は、「『最愛の仕事』の見つけ方」特集。自律的なキャリア形成へと世の流れが移る今、画一的なロールモデルは存在しない。各分野の第一線で活躍する人物・識者たちへの総力取材を通じて、自分だけの答えを見つける手がかりを提示する。

「M-1グランプリ2023」で優勝を果たしたお笑いコンビ・令和ロマン。戦略家のイメージもあるふたりは、この先どんなキャリアを描くのか。



「目標なんてまったく描いていない。1回も考えたことない」。 “エリート”と冠されることも多いコンビだが、成功への道筋をどのように描いていたのかを聞くと、意外とあっさりした答えが返ってきた。

慶應義塾大学のお笑いサークルで先輩(松井ケムリ)・後輩(髙比良くるま)関係だったふたり。ケムリが大学を卒業するタイミングでくるまも中退し、共に吉本興業のお笑い養成所へ入学した。プロの芸人になったのは「目立ちたかったからです。親が金持ちだから不安もなかったんで(父親が大和証券グループの現副社長)」とケムリ。くるまは「何となくお笑いサークルに入って、何となく結果が出てみんなに『プロ目指すんじゃないの』って言われたから何となくプロになった」と振り返る。

自分の人生を、漫画を読むかのように客観視しているというくるまは、「漫画っていつか絶対成功するじゃないですか。だから流されることが怖くないんですよ」と語る。

そもそも芸人という仕事は、長い視点で計画を立てることができない。「社会の変化とともに変化するので、計算が狂いやすいんです」(ケムリ)。例えば、1年かけて磨き上げた自信作が、事件・事故などの社会情勢によって笑えないものになり、勝負どころで披露できなくなることも。コロナ禍では舞台に立つことすらできなくなった。努力が報われないこともある、脆弱さをはらんだ職業なのだ。

「過去の傾向を分析して将来のプランを立てる時間があったら、“今”できることをやったほうが絶対にプラスになる」(くるま)

なぜ勝負に勝てるのか

養成所の卒業後も、とにかく目の前の勝負に勝つことにこだわってきた。吉本興業の場合は、バトルを勝ち抜いて劇場に所属することが“第一歩“になるため、まずは劇場を目指した。そして劇場内でも上のランクに上がる、M-1など賞レースで勝ち進む、などと着実に前進してきた。

22年には地上波でも放送されたM-1の敗者復活戦で2位になり爪痕を残したことをきっかけに全国のライブに呼ばれ、大舞台でネタの精度を高める機会に恵まれた。そこからたった1年でつかんだ優勝。「ネタを磨ける環境にいたら誰だって伸びる。あとは勝負がうまいかうまくないか。くるまは勝負がうまいんですよ」(ケムリ)。(続きはForbes JAPAN 2024年5月号で)


れいわろまん◎ボケの高比良くるま、ツッコミの松井ケムリからなるコンビ。2018年にデビューし、現在は神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動(3月末に卒業)。結成6年目の23年に「M-1グランプリ」で優勝した。

文=堤 美佳子 取材・編集=田中友梨 写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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