演劇とお笑いをつなぐ。「ダウ90000」の頭脳、蓮見翔が描く夢

蓮見翔 写真=帆足宗洋(AVGVST)

26歳という若さで、俳優・芸人・脚本家と、いくつもの肩書きでその才能を発揮する「ダウ90000」の蓮見翔。次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN 2023」のENTERTAINMENT & SPORTS部門の受賞者に選出された。

演者・裏方の両面から「演劇」「お笑い」を突き詰め、最近はバラエティ番組での活躍も見せる蓮見。縦横無尽に新しいエンターテインメントを切り開く彼が、目指す未来とは。


蓮見翔が2020年に旗揚げしたのが、日本大学芸術学部発の男女8人組「ダウ90000」。誰かの日常を覗き見しているかのようなリアルな会話劇を軸に、演劇とコントの両方を演じている。

毎年開催する単独公演(演劇)と単独ライブ(お笑い)は年々人気を博し、今年5月に本多劇場で上演した第5回演劇公演「また点滅に戻るだけ」のチケットも即完。大盛況で幕を閉じた。

「コントの台本を書きたい」

蓮見がこの道に進んだのは、お笑い芸人への憧れからだった。

「小学生のころに、地元にさまぁ~ずが『モヤさま』のロケで来て、ファンになりました。それを担任の先生に話すと、『M-1グランプリ』の過去回をまとめたDVDを貸してくれて、ますますお笑いにハマっていきました」

当時、録画して繰り返し観るほどお気に入りだったバラエティ番組は「イロモネア(ウンナン極限ネタバトル ザ・イロモネア)」だ。
 
そんな中で「コントの台本を書きたい」という思いが芽生え、日本大学芸術学部に進む。そして在学中の2017年に、ダウ90000の前身となる演劇企画団体「はりねずみのパジャマ」を立ち上げた。

「同時期に組んでいた別のコンビでの漫才は全然ウケなくて、『自分は面白くないんだ』と思っていました。でも、はりねずみのパジャマの演劇公演はいつも評判が良かったんです」そこで、大人数が出演する台本を“書く”ことが、自分の得意分野だと気がついた。

「台本を書いている側からしたら『漫才』と『8人でのコント』ではまるっきり競技が違いますが、両方とも“お笑い”のジャンルの中にはある。お笑いは、『とりあえずお笑いをやってみよう』と始めて、後から漫才やコントに分岐していく人が多いと思うんですけど、僕は運良く最初から自分が得意なことをやれていました。結果的には、運が良かったですね」

世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」も6年目。2023年はパワーアップし、120人を選出した。彼ら、彼女たちが自らの言葉で、過去と今、そして未来を語る。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=千葉 良(AVGVST) ヘアメイク=KUNIO Kataoka(AVGVST)

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30 UNDER 30 2023

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