2種類の「ブースト」
ブーストにも2種類あるという。PayPayなど、小澤が事業を成長させてきた経験が生きる事業的なブースト。もうひとつは、ファイナンシャル・スキーム的なブーストだ。優良企業を、事業会社だからできる巨額買収で傘下にし、買収後のテコ入れで、しっかりと事業を伸ばすスタイルだ。「私が事業会社の経営者として、自社のポートフォリオに対して行ってきたことを、今度はBoost Capitalで投資先に行う。ZOZOも、一休も、ヤフー買収後に大きく伸びた。やることは変わらない」(小澤)
日本には、小澤らが考えるブーストを担える力があり、規模のあるファンドが不在だ。Boost Capitalは、100億円から200億円規模でファンドを組成。LP(リミテッド・パートナー)は事業会社が中心で、出資先の買収先ともなりえる設計。24年4月より投資を開始する予定だ。
出資の前提は事業を伸ばすべく、経営に深く関与できること。投資ステージはアーリーからレイターまでオールステージ投資だ。「一緒に創業でも、構わない」と経営に伴走する姿勢を示す。
「取得株式は1%から100%まで。割合が低ければハンズオン、51%を超えれば経営。そこにこだわりはない。徹底的に事業を伸ばすために手を尽くす」(小澤)
出資対象は良いサービスをもつ、または良い領域にいるが、成長が鈍化した会社。培ったノウハウで、成長曲線をつくっていく。「これまでも経営者から相談が寄せられてきた。資金が集まらないことではなく、事業の伸び悩みに課題感をもっている人は多い。COOを探すVCはあるが、私たちは事業をブーストするために必要があれば、CEOも探していく戦略だ」(小澤)
Forbes JAPAN 2024年5月号は、日本のベンチャーキャピタル(VC)を特集。新たなステージに突入したVC産業の現在地と未来のあるべき姿を探った。23年設立の主要なVCファンドを網羅した「日本VC名鑑」も掲載。
Boost Capital◎小澤隆生、堀新一郎、高橋健太により2024年1月設立。1号ファンドである「ブーストキャピタル1号投資事業有限責任組合名称」は100億〜200億円規模。LPはLINEヤフー、ビジョナル、マネーフォワード、PKSHA Technology、PLAY、GLOBIS CAPITAL PARTNERS。 オールステージ投資を実施し、企業買収も行う。