アート

2024.03.14 16:45

次なる時代を描くヒントは「研究」と「アート」にある? デサイロが初のイベント開催

(左から)岡田弘太郎、和田夏実、木原共

バイブスで始まって、思考で終わりたい

──開催まであと1カ月ほど(取材時点)ですが、今回のイベントに期待することを教えてください。
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岡田:今回コラボレーターとして参加していただく方のなかに、ラッパーのSkaaiさんがいらっしゃいます。彼はもともと九州大学大学院で情報法の研究をしていて、その後ラッパーとして活躍されているという異色の経歴の持ち主です。

ある意味、今回のテーマである「研究」と「アート」をどちらも併せ持つ存在なんですが、彼がとあるドキュメンタリー番組で、「バイブスで始まって、思考で終わりたい」と話していたんです。個人的には、今回のイベントのテーマはまさにそれだと思っています。ライブパフォーマンスや体験型のプログラムで間口を広げつつ、何かひとつでも思考のきっかけを持ち帰ってもらえるようなイベントにしたいなと。

あと個人的に思っていることとして、最近、東京から実験的な取り組みが減ってきている気がしています。もう少し東京に「わけのわからない」ものがあってほしいという気持ちがあって、同じような思いを抱えている人にぜひ遊びに来てもらいたいですね。
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木原:「異分野融合」という言葉自体は最近よく聞きますが、哲学者とラッパーと小説家とメディアアーティストが一箇所に集まるライブイベントなんて、他にまずないですよね。東京らしい雑多さというのはその通りで、ヨーロッパだったらもう少しスマートな形になっていると思います。しかも全員が今回のために完全新作を作りますからね。他の作家さん達がどんなものを作ってくるのかまったくわかりませんし、いち観客としてもイベント当日が非常に楽しみです。

和田:今回、友人たちといくつかの作品で手話通訳を含めた情報保障の表現の実験をしてみようと話していて。特に今回の多様なアーティストの方の表現をどう翻訳していくか自体、非常に面白い取り組みになると思います。

情報保障は実験や蓄積こそが大切だと思うのですが、通例だと依頼のタイミングが最後だったりで、運営への相談が出来なかったり、なかなか機会がなく。今回のイベントの中で試行錯誤してみることで、タイトルの通り、エクスペリメント(実験)に満ちたイベントになるんじゃないかなと期待しています。

岡田:今日のお話を踏まえて、「同時代性」がキーワードになっているように感じました。

もともと「デサイロ」という名前をつけたのは、学問分野がそれぞれ専門分化し、サイロ化している状況をつなげていく(=脱サイロ)という狙いから。今回のイベントは、学問分野のサイロだけでなく、さまざまな表現ジャンルの間にあるサイロを崩し、次に繋げられる機会になれば良いなと感じています。

そのときに重要なのが「同時代性」ではないでしょうか。研究者とアーティスト。普段活動しているフィールドは違えど、同時代的な問題意識をもっていて何か共通するものがある──。

そんな方々に今回集っていただけたのではないかと考えています。ここから立ち現れる知や表現を体感するために、ぜひ会場まで足を運んでいただけたら嬉しいです。



和田夏実◎インタープリター。ろう者の両親のもとで手話を第一言語として育ち、視覚身体言語の研究、感覚がもつメディアの可能性について模索している。LOUD AIRと共同で感覚を探るカードゲーム《Qualia》や、たばたはやと+magnetとして触手話をもとにした繋がるゲーム《LINKAGE》など。ミラノ工科大学研究員。手話通訳士取得。《an image of…》《visual creole》 "traNslatioNs - Understanding Misunderstanding", 21_21 DESIGN SIGHT, 2020

木原共◎新たな問いを人々から引き出す遊びをテーマに、実験的なゲームやインスタレーションの開発を行う。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、オランダのデルフト工科大学院のインタラクションデザイン科を修了。その後、アムステルダムに拠点を置く研究機関Waag Futurelabや米国のMozilla FoundationとAIの社会的影響に焦点を当てたプロジェクトを行う。近年の作品はアルスエレクトロニカ STARTS PRIZE (リンツ、2021年)にノミネートされたり、Victoria & Albert Museum(ロンドン、2022年)で展示された。

岡田弘太郎◎編集者。一般社団法人デサイロ代表理事。クリエイティブ集団「PARTY」パートナー。研究者やアーティスト、クリエイター、起業家などの新しい価値をつくる人々と協働し、そうした人々と社会をつなげる発信支援や、資金調達のモデル構築に取り組む。慶應義塾大学にてサービスデザインを専攻。


「DE-SILO EXPERIMENT 2024」について

■日時
2024年4月13日(土)
WALL&WALL|11:30-21:00
OMOTESANDO MUSEUM|11:00-19:30

2024年4月14日(日)
WALL&WALL|13:00-21:00
OMOTESANDO MUSEUM|11:00-19:30

■会場
WALL&WALL / OMOTESANDO MUSEUM
※2会場同時開催となります

■アクセス
〒107-0062 東京都港区南青山3丁目18-19 フェスタ表参道ビルB1 / 同ビル2F
https://maps.app.goo.gl/Pstr6MnjccfS5oXJ8
表参道駅徒歩1分

■主催
一般社団法人デサイロ
イベント詳細は公式サイトも合わせてご覧ください。


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「研究」と「アート」が交差する2daysイベント「DE-SILO EXPERIMENT 2024」のメディアパートナーであるForbes JAPAN読者限定で、無料招待チケットをプレゼントします。抽選で40名(DAY1:20名、DAY2:20名)。こちらのフォームよりお申し込みください。

文=松本友也

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