リーダーシップ

2024.03.21 14:30

みんなとだから、早く遠くに行ける。新領域を開く「インクルーシブ・リーダーシップ」

Forbes JAPAN編集部

みんなが良さをもち寄れば

ある日の合宿の午後が、岡本を変えた。30代でPwCから参画したNPO。東日本大震災への対応で組織が急拡大するなか、オペレーション改善やバックオフィス整備に、企業再生の経験を生かし全力を出した。しかし、誰もついてこない。社内合宿では、メンバー全員から厳しい意見を浴びせられた。「一通り自分を責めて、辞めようかと思った」。

組織を動かすのは、自分なりの最適解ではなく、みんなの納得解。報酬ではなく、共感を大事に動く非営利組織で、多くを学んだ。「人を機能として見てはいけない。強い人、優秀な人のような、機能のタグ付けに惑わされてはいけない。誰もが急成長するポテンシャルを秘めている。シングルマザーの皆さんを見ると、本当にそう思う」

営利と非営利、外資と地域中小、支援と被支援──あらゆる境界を越えてきた、岡本らしい考え方だ。

「『早く行きたければひとりで行け、遠くへ行きたければみんなで行け』というが、『みんなとだからこそ、早く遠くに行ける』と思うようになった。重要なのは、目的のために、みんなを集めているわけではないこと。人を機能として見るのではなく、みんなが、みんなを大事にしつつ、それぞれの力を発揮すれば、そのあり方にさらに人が集まる。その結果として、早く遠くに行けるはず」
 
今では地域の建設会社に、新卒から大企業、外資系金融、NPO経営の経験者まで、全国から多様なメンバーが集う。着実に、早く遠くへ歩みを進めている。


おかもと・たくや◎LivEQuality大家さん代表取締役社長。認定NPO法人LivEQuality HUB代表理事。PwC、NPOソーシャルベンチャー・パートナーズ東京代表理事、認定NPO法人カタリバ常務理事兼事務局長を経て、千年建設を事業承継。

文=フォーブスジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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