山下氏は「一目で示威目的の演習とわかります」と語る。同氏によれば、一般的に砲兵は1個大隊(3個中隊)18門が基礎となる部隊(実戦で運用する単位)。1個中隊の6門が射撃実行単位になるため、6門が敵の対砲兵戦射撃(対抗射撃)で一度に全滅しないよう、分散して配置する。間隔は、敵の1発の榴弾の威力も考慮する。基準とする砲から両翼に、少なくとも50~100メートルの間隔を取り、前後にも50メートルほどずらして、ジグザグ配置するという。「寄せ集めの部隊による展示射撃訓練といったところでしょう。古い装備を動かす整備能力には感心しますが。とにかく、北朝鮮軍の威容を誇示したかったのでしょう」
一方、李氏によれば、写真からは、100ミリ、120ミリ、140ミリ、155ミリ、170ミリ、240ミリなど、実に様々な口径の火砲が確認できるという。南北軍事境界線からソウルまでは50キロ前後離れている。李氏は「少なくとも155ミリ以上の口径でなければ、ソウルに砲弾は届きません」と語る。同時に「あんなに色々な口径の火砲を並べたら、補給が複雑になって大変です」とも語る。「金正恩は米韓に脅威を与えることに夢中になりすぎて、かえって北朝鮮軍が抱える問題をさらけ出したといえるでしょう」
米韓の大規模な合同軍事演習は14日まで続く。北朝鮮国防省は4日に発表した報道官談話で「米国と大韓民国は、自分らの誤った選択が招く安保不安を刻一刻と深刻な水準で体感することで、応分の代償を払うことになる」と警告した。「深刻な水準での体感」が今後、どういう形でもたらされるのかは、まだわからない。
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