日本の鉄鋼大手にも恩恵
MITで材料化学の研究を行ったサドウェイは長年、鉄鋼分野に魅了されてきた。彼は、1980年代半ばの石炭を燃やす高炉の悲惨な環境コストにほとんど関心が払われていなかった頃から、鉄鋼の代替製造方法の実験を行ってきた。現在73歳のサドウェイは、元グーグルCEOのエリック・シュミットの資金援助を受けてSadoway Labs(サドウェイ・ラボ)と呼ばれる別の秘密プロジェクトも手がけている。サドウェイが考案した技術のブレイクスルーは、2000年頃に思いもよらないところからもたらされた。その当時、NASAは月面で酸素を生産する方法を探していたが、月の表面には鉄鉱石が豊富にあり、サドウェイは現在鉄鋼の製造に用いているプロセスの初期バージョンを使ってNASAのために酸素を抽出した。彼らは最終的に別のテクノロジーを選択したが、サドウェイはその後も研究を続けた。
サドウェイの研究に基づくボストン社の技術は鉄鋼業界の中でも特にUSスチールやアルセロール・ミッタル、日本製鉄などの2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言した企業にとって、説得力のある提案となるはずだ。
「私たちの技術には十分なニーズがあります」と、ブラジルの金属大手CBMMのCEOを務めた現在64歳のカルネイロは述べている。彼によるとボストン社にはすでに、戦略的投資家であるアルセロール・ミッタルを含む複数の大手が関心を寄せているという。
カルネイロは、これらの鉄鋼メーカーとのライセンス契約が、同社の規模の拡大に役立つと考えている。ただし、ボストン社は他のグリーンテクノロジーとの競争にも直面することになる。
(forbes.com 原文)