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2024.03.11 11:30

独自OSスマホは中国の「武器」に、ファーウェイはAI端末で世界を狙う

安井克至
この動きが中国全土に拡大する可能性があることは容易に想像がつく。中国政府としては、米国のスマートフォンの支配を打ち破り、独自のソリューションを普及させること以上に望ましいことはないだろう。さらにいうと、ファーウェイの試みはAI分野にも波及する。グーグルは現在、モバイルサービスやアプリでAIを全力で推進しており、サムスンもGalaxy AIを戦略の中心に据えている。そしてアップルも、今秋のiOS 18がAI一色になると予告した。

オンデバイスのAIは、高価なハードウェアを必要とするが、この市場は、より低いコストでより多くのデバイスを提供することを得意としてきた中国のOEMの戦略にマッチするものだ。ファーウェイはその手法で国際的な基盤を築き上げ、シャオミも今同じことをやっている。同社が、北米や欧州市場をあきらめて、その代わりにアジアやアフリカに目を向けて、中国のエコシステムを搭載した低価格のAIデバイスを送り込むとしたら、何が起こるだろう?

AIは、中国が次の国際的な成長を遂げるための重要なツールになるかもしれない。ここでもまた、ファーウェイは着々と準備を進めている。同社のエコシステムには、ハードウェアやチップセット、デバイス、OS、そしてそれらを支えるAIが組み込まれている。そして、中国のOEM各社は、オンデバイスの生成AIの進歩に追いつこうとしている。

現時点では、この見立てはまだ推測の域を出ないが、少なくとも中国市場にとっては、完全に予測可能なことだった。中国は今、第3のスマートフォンのエコシステムを見つけ、その成長を広大な国内市場だけでなく、海外へと広げる方法を模索している。

ファーウェイの復活は、米国政府とシリコンバレーにとって間違いなく悪いニュースだ。11月の米大統領選の結果次第では、過去の米中の衝突が繰り返される可能性があるが、米国にどのようなカードが残されているかは、まだわからない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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