北米

2024.03.09

米TikTok禁止法案にバイトダンス反発、アプリ内で「抗議の電話」を呼びかけ

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米連邦議会下院のエネルギー・商業委員会は3月7日、中国のバイトダンスが運営する動画共有アプリTikTokの米国内の利用を禁じる法案を賛成多数で可決した。議員らは、このアプリが米国人の個人情報を中国に送るなどの安全保障上の脅威があるとみている。

そんな中、全米の議員たちのもとにTikTokのユーザーからの抗議の電話が殺到している。彼らは、アプリを開いた際に表示されるメッセージを見た後に電話をかけている。

「議会はTikTokの全面禁止を計画しています」とアプリ内のポップアップには表示されている。「政府が1億7000万人の米国人から表現の自由を剥奪する前に、今すぐ声を上げましょう。この動きは、何百万ものビジネスにダメージを与え、クリエイターの生活を破壊し、アーティストの聴衆を奪うことにつながります。TikTokがあなたにとってどのような意味を持つかを議会に伝え、反対票を投じるよう伝えてください」とバイトダンスは行動を呼びかけている。

ユーザーは、アプリに郵便番号を入力することで、地元の議員を見つけ、電話をかけることができる。

TikTokは、その膨大な利用人口とユーザーの忠誠心を利用して、彼らを標的とした法案の成立を阻止しようとしている。この法案は「The Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act(外国の敵対勢力が支配するアプリから米国人を保護する法案)」と呼ばれるもので、中国やロシア、イラン、北朝鮮が米国人に影響を与えたり、監視したり、機密データにアクセスしたりする懸念に対処することを目的としている。

この法案はまた、大統領が懸念のあるアプリを指定し、そのオーナーにアプリを売却させるためのインセンティブを提示するプロセスの概要を提示し、バイトダンスをTikTokから引き離すための手順を示している。

委員会の側近は、この法案がTikTokのみに適用されるものではなく、その目的が「安全保障上の懸念を排除しつつ、アプリの運営を継続させること」にあると強調している。しかし、バイトダンスは、この法案がTikTokを完全にシャットダウンする手段だと見ている。「この法案は、どんなに偽装しようとしても、TikTokを全面的に禁止するものです」と彼らは述べている。
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編集=上田裕資

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