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欧州

2024.03.07 14:00

大西洋で200年以上前に絶滅したコククジラ、米北東部沖で目撃 温暖化の影響か

Getty Images

大西洋では200年以上前に絶滅したと考えられているコククジラが先週、米北東部マサチューセッツ州ナンタケット島の南方の大西洋で目撃され、研究者らに大きな驚きが広がっている。地球温暖化の影響で太平洋から移動できるようになったのではないかと見方が出ている。

コククジラを目撃したのは、マサチューセッツ州ボストンにあるニューイングランド水族館の科学者チーム。同水族館の5日の発表によると、ナンタケット島から50キロメートルほど南の海域でコククジラが潜水と浮上を繰り返しているのを、調査中に上空から見つけた。クジラは餌を獲っているようだったという。
ヒゲクジラの一種で体長15メートルほどに達するコククジラは、大西洋では乱獲のため18世紀には絶滅した。現在は絶滅危惧種ではないものの、見つかるのはほぼ北大西洋に限られる。

大西洋での異例の目撃について、ニューイングランド水族館の科学者チームは気候変動との関連性を指摘する。北太平洋と北大西洋を結ぶカナダ北方の海域は近年、世界的な気温上昇などの影響で夏場は氷が張らなくなっているため、コククジラが移動できるようになっている可能性があるという。

同水族館の付属研究機関の研究者であるオーラ・オブライエンは、今回のコククジラ目撃は「機会があれば、海洋生物が気候変動にすぐに反応することをあらためて思い起こさせた」と述べている。

絶滅が危惧されるクジラも

大西洋では、数世紀にわたる捕鯨で減少したクジラのうち、数種類の生息数が回復したことが確認されていたが、ここへきて再び生息数の減少が懸念されるようになっている。とくに危惧されているのが、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅のおそれが最も高い「近絶滅種(CR)」に指定されているタイセイヨウセミクジラだ。

米海洋大気局(NOAA)によると、タイセイヨウセミクジラは現在、個体数が360頭ほどまで減っており、繁殖能力のあるメスは約70頭しかいない。船と衝突したりロブスター漁などの猟具に絡まったりして死ぬ例が相次ぎ、環境保護団体などが問題視している。

このほか、ザトウクジラも米東海岸で打ち上げが相次ぐなど受難が続いている。東海岸で2016年以降、死んだザトウクジラの報告は数百頭にのぼる。大量死の原因は特定されていない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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