スポーツ

2024.03.01 17:00

大谷効果で話題独占、ドジャースはビジネスで早くも「勝利」

大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(Mary DeCicco/MLB Photos via Getty Images)

もっとも、ドジャースがケチっているというわけではない。山本由伸(12年3億2500万ドル)、タイラー・グラスノー(5年約1億3650万ドル)、マックス・マンシー(2年2400万ドル、2026年はオプション付き)、ジェイソン・ヘイワード(1年900万ドル)、クレイトン・カーショウ(2年1000万ドル)、ジョー・ケリー(1年800万ドル)といったフリーエージェントの獲得や契約延長だけ見ても、ドジャースの2024年の年俸総額が過去最高に達しそうだと予想できるだろう。
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それでも、大リーグ情報サイトの「ファングラフス」によるとドジャースの2024年の年俸総額見通し(3億200万ドル)は、昨シーズンプレーオフ進出を逃したメッツ(3億1500万ドル)よりは抑えられ、全体で2位となっている。

ドジャースはどうやってこれを実現しているのか。

まず、大谷の驚嘆すべき繰り延べ方式の契約は、本人の意思がなければあり得なかった。そしてこれは、ドジャースがロサンゼルスのマーケットを代表するような存在であり、また歴史あるブランドであることの証拠でもあるだろう。
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大谷が繰り延べ支払い方式を進んで選んだことで、ドジャースはワールドシリーズで優勝するチャンスを得た。これは大谷がエンゼルスでできなかったことでもある。他方、企業とのエンドースメント契約でも球界トップの選手である大谷は、ドジャースブランドを利用してグラウンド外でもさらに飛躍できるだろう。

話を戻せば、ドジャースにとって、選手との契約はすべてビジネスの成長につながるということもある。

たとえば大谷のドジャースジャージは、スポーツライセンス商品を手がけるファナティクスで、発売開始から48時間の売り上げ新記録を打ち立てた。それまで最高だったリオネル・メッシのジャージの2倍以上の売れ行きだった。

2023年シーズンの開幕前に発表されたフォーブスの球団価値ランキングで、ドジャースは48億ドルと評価されて2位だった。営業損益は1400万ドルの黒字となり、前2年の赤字を脱した。

ドジャースの昨シーズンの観客動員数は大リーグ全球団中トップで、延べ386万1408人、1試合あたり平均4万7672人を集めた。もっとも、大リーグ情報サイトの「ベースボール・レファレンス」によれば2022年シーズンからは1試合あたり300人減った。今シーズンの試合は大谷をはじめとする戦力強化の効果でチケット販売がすでに押し上げられており、昨年の観客減少を反転されられるかも注目点だ。

セカンダリー(二次流通)チケット市場も、昨年のオフシーズンの契約ラッシュに反応した。とりわけ史上最高額となった大谷の契約締結直後には、ドジャースのホーム開幕戦のチケット価格が約390ドルから984ドルへと152%も跳ね上がった。

ドジャースはすでにスポンサーも充実しているが、今後は大谷の加入によって日本で非常に高まっているドジャースへの関心も利用できそうだ。大谷人気にあやかり、アンハイザー・ブッシュ・インベブやバンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラなどに加えて、さらに多くの企業をスポンサーに迎えられるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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