大谷翔平選手に見る「軽やかなリーダーシップ」の形

大谷翔平(Getty Images)

「誰も歩いたことのない道」をいとも楽しそうに歩き続ける大谷翔平選手。前人未到、生きる伝説、銀河級など、彼の比類なき活躍を称える言葉が日々ネットを飛び交う。

ニュースのコメント欄やSNSには、「朝起きたらまた大谷さんがホームラン!今日も1日頑張ろうという気持ちになれました。ありがとうございます」「ベーブルースの偉大な記録を次々と打ち破る人が、日本人から誕生しているという喜び」「同じ時代に生きていることに感謝しかありません」「世界平和をも現実化できるのではないかと思うくらいの存在」といったコメントが溢れている。

そんな彼の一挙手一投足を伝える日本や地元アメリカのメディアはもとより、野球がほとんど話題に上らないイギリスでもBBCやデイリーミラー紙が特集を組み、カナダにはファンクラブまであるという。

日本に対して辛口な韓国メディアも、「万能なるユニコーン」などと手放しで称賛。大谷選手が今年のWBCで着用したユニフォームは、MLB公式オークションで約1700万円で落札されたという。

私の身近でも、経営者、クリエイター、アーティストなど、さまざまな職種や年齢層の人との対話で「あんな日本人が出てくるとは思わなかった」と感嘆の声が上がる。知人の建築家は、「これほど真に美しい若い日本の男性を見たことがない。大谷さんは日本の男子が表現すべきこと全てを体現している」と頬を紅潮させていた。

本人は至って自然体ながら、ここまで世界的な関心を集めているのは、彼のプレーの異次元さのみならず、人格によるところも大きい。

強気で潔く動じない。慎ましやかで気遣いがある。読書が趣味というだけあって、プレーや受け答えが知的で冷静。おまけにお茶目でかわいい。もはや国籍や世代を超えて多くの人々に勇気や希望を与えている大谷選手は、「ハイエンド・ジャパニーズ」だ。

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結婚したい相手の国籍ランキングで、日本人男性は下位に燻っていると聞く。そんな中で、大谷選手の存在がどれだけ日本人のイメージアップにつながっているかは計り知れない。また、彼の今日を育んだ地が岩手という点は、一極集中が課題の日本にあって、地方での生活や教育の豊かさ、価値を証明している。

「大谷翔平を生んだ岩手を訪れる」ツアーも海外では企画されているそうで、日本を訪れる目的にさえなっているのだから、地方活性にも一躍買っているといえよう。
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文=山田理絵

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