ロシアにとって問題なのは、約965kmにおよぶすべての前線を監視するには、南、東そして北の3方面に早期警戒管制機を配備する必要があるということだ。3方面をカバーするには、少なくとも9機のA-50を要する。各方面ごとに、1機が監視している間、もう1機は基地に戻り、別の1機はメンテナンスを受ける。
実際、ロシア空軍は乗員の訓練を支援し、機体が定期的な整備を受けられるようにするために、追加の機体が必要だろう。
つまり、A-50を2機撃墜し、昨年のベラルーシでのドローン攻撃で1機を損傷させたことで、ウクライナ軍は実質的にロシア軍がA-50を使って前線全体を監視できないようにした。これによりロシア軍は、どの方面をレーダー探知なしとするかを判断せざるを得なくなった。
ウクライナは各方面でミサイルやドローンを使って深部攻撃を行うため、難しい選択だ。A-50を追加してその厳しい決断を避けることも期待できない。
ロシア空軍は何年もの間、1機しかないA-100の開発とテストを終えようとしていることを忘れてはいけない。外国の制裁で、同空軍はA-100のシステムに必要な電子部品の一部を入手できていない。
自由なウクライナを支援する人々にとって興味深いのは、ロシアが残るA-50を再配備して必然的に航空レーダー探知のカバー範囲に隙間ができたとき、ウクライナ軍がどう出るかだ。その隙間をめがけてドローンや巡航ミサイルで攻撃し、艦船や司令部、兵站拠点、さらには兵器工場や石油施設を狙うのだろうか。
ほぼ間違いなくそうだろう。
(forbes.com 原文)