ところが、2023年は、首都圏から地方へ本社を移転した企業は年間347社と前年を12社増えたものの、地方から首都圏への転入が310社で、前年と比べて52社も増えている。相対的には首都圏からの転出の方が上回ったが、2022年からは51.9%も減った結果となった。
地方への転出は高い水準を維持しているものの、首都圏への一極集中の動きが活性化しているようだ。
首都圏から地方へ移転した企業の転出先は、大阪府が39社で最多。2位は茨城腱で37社、3位は愛知県で33社となっている。一方、地方から首都圏へ移転した転入元では、こちらも大阪府が1位で60社、2位が愛知県で24社、3位が福岡県で23社と続いている。大阪府にとっては、首都圏への移転の方が多いという結果だった。
移転した業種としては、2022年と比べ首都圏から地方への転出は、卸売業が17社増でトップ、逆に地方から首都圏への転入はサービス業で20社増となっている。サービス業が転入・転出ともに最も多く、転出ではソフトウェア開発やベンダーなどソフトウアェア業がサービス業の1割を占めている。
転出した企業の売上規模を見てみると、転出は1億円未満が47.3%で最も多く、転入は1億円未満が38.7%、10億円未満が37.4%とほぼ同じくらいの割合となっている。一方で、転入する企業で10億円以上の企業が23.9%と増加してきており、過去5年で最も高い割合になっている。
こうしてみてみると、ウェブ会議やリモートワークといったコロナ禍で培われたビジネススタイルは踏襲しつつ、首都圏から離れるという判断は薄まりつつありそうだ。逆にアフターコロナで景気が回復することで、首都圏に活動拠点を移したい企業が増える可能性が高く、2024年には再び逆転するのではとみられる。
出典:帝国データバンク「首都圏・本社移転動向調査(2023年)」より