ツナ缶のパイオニアとしての想い
黒いラベルが巻かれた、漆黒の箱を手に河野さんが話し始める。その箱の中には、くだんの1缶5000円という最高級のツナ缶BLACK LABELが入っている。「ツナ缶というと、世の中にあるほとんどのものにカツオが使われています。そのほうが価格が安く抑えられるから。しかし、このBLACK LABELでは、南三陸の気仙沼に引き揚げられるびん長まぐろだけを使っています。それも1%にも満たない大トロの部分のみ。だから、一尾から一缶しか作れないんです」
のっけから、あまりの希少性に驚かされる。さらに、そのびん長まぐろを漬けるオリーブオイルも、厳選された上質なものを使っているという。販売当初はスペイン産の「エルドラード ブラックレーベル」というエキストラバージンオリーブオイルで、このツナ缶の名前のきっかけにもなっている。
「数々の賞を受賞している風味豊かなオリーブオイルです。現在は、同じくスペイン産の『オロバイレン ピクアル』というエキストラバージンオリーブオイルを使っています。自社農園で収穫後に搾油している、本当においしいオイルなんですよ」
素材にこだわりがあるのはとてもよく伝わってくるが、そもそもなぜ、ここまで厳選した素材を使って作ろうと思ったのだろうか。
「うちの会社は2014年に創業していますが、その前身である清水食品は1929年に日本で初めてツナ缶を作った会社になるんです。ツナ缶のパイオニアとして、素材にも製法にもこだわったものを作りたいという思いがあったからです」