宇宙

2024.02.19

冥王星を降格させた準惑星「エリス」に高温の中心核 ウェッブ望遠鏡で発見

氷に覆われた準惑星エリスとマケマケを描いた想像図。エリスの直径は約2330km、マケマケは約1430km(Southwest Research Institute)

冥王星は惑星なのか。国際天文学連合(IAU)の会員による投票で冥王星が降格させられた2006年以来、この問題をめぐる議論が激しく交わされている。ほとんどの人が忘れているが、この議論の根本原因は、2003年に撮影された画像から太陽系の少し外側にある冥王星に似た天体(冥王星型天体)が発見されたことだ。この天体は愛称でゼナと呼ばれていたが、後にエリスと改名された。そして間もなく、マケマケがこの仲間入りをし、その後ハウメアとセドナが加わった。

IAUは、冥王星を含むこれらの天体をすべて「準惑星」に分類した。太陽から遠方に位置することから、エッジワース・カイパーベルト天体(KBO)と呼ばれることも多い。カイパーベルトは、氷に覆われた天体が分布する広大なドーナツ形の領域で、海王星の軌道の外側の太陽系外縁部にある。これらの氷天体は最近まで、寒冷で内部活動がないと考えられていた。だが、氷天体は中心部が温暖である可能性があるとの認識がますます高まっており、このたびその新たな証拠が浮上した。

活動的な天体

米航空宇宙局(NASA)の探査機ニュー・ホライズンズが2015年に撮影した氷の平原、山脈、砂丘、氷火山などの画像から、冥王星が地質学的に活発であることが明らかになったのと同様に、今回の研究によってエリスとマケマケが、どちらも活動的な天体であることが確認された。

学術誌Icarusに掲載された今回の研究をまとめた論文では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データを用いて、氷に覆われた両準惑星の内部で熱水・変成作用が起きている証拠を明らかにしている。両準惑星の表面で検出されたメタンは、岩石質の中心核(コア)で高温の地質化学的反応が起きていることを示唆している。

熱的作用

論文の筆頭執筆者で、米サウスウエスト研究所(SwRI)の惑星地質化学の専門家、クリストファー・グレンは「寒冷な場所で、高温の時期の興味深い痕跡がいくつか見られる」と指摘した。「このプロジェクトに参加した当初は、大型のKBOには、原始太陽系星雲から受け継がれた物質が存在する古代の表面があるはずと考えていた。KBOの寒冷な表面が、メタンなどの揮発性物質を保存している可能性があるからだ」
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翻訳=河原稔

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