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2024.02.17

グーグルがAIベースの新セキュリティスキーム発表、Gmailに導入済

Getty Images

グーグルが、新しいセキュリティスキームを発表した。その内容は、AIを使って「デジタルの未来を安全にし、力を与え、促進する」ものだと説明されている。また、このAI Cyber Defense Initiative(AIサイバー防御イニシアティブ)の一環として、AIを利用した「Magika」という新しいツールがオープンソース化される。MagikaはGmailユーザーを問題のあるコンテンツから守るためにすでに使用されている。

「防御側のジレンマ」

2月16日にミュンヘン・セキュリティ会議で発表されたAI Cyber Defense Initiativeは、グーグルがAIを展開してきた経験によって「防御側のジレンマ」なるものを克服できるという同社の信念を伝えるものだ。

防御側のジレンマとは、攻撃側は最も防御の強いネットワークに侵入するために、1つの穴、1つの新たな脅威を見つけるだけでよいのに対して、防御側には許容される誤りだなく、常に最善の防御体制を敷かなければならない状態をいう。

おそらくこれは、予防対策やパッチ、公衆の意識を高めるキャンペーンなどがすべて、過去の脅威を緩和するためのものであり、グーグルがいう、虎視眈々と狙っている脅威に対するものではないということに気づけば理解しやすいだろう。

AIを使って防御側のジレンマ状態を覆す

グーグルはミュンヘンでの会議で「Secure, Empower, Advance: How AI Can Reverse the Defender’s Dilemma」と題した報告書を発表し、その中で新たに提起するポリシーと技術的課題に焦点を当てている。同社は、AIを大規模に導入してきた経験に基づき、常に追いかけている状態にある防御側のジレンマの力関係は逆転可能であると主張する。なぜなら、AIによってセキュリティ専門家は「脅威の検知、マルウェア分析、脆弱性の検出、修正およびインシデント対応の仕事をスケールアップ」することが可能になるからだという。

すでにGmailはプロアクティブ保護を先導

Gmailはすでに、RETVecと呼ばれる多言語によるニューラルベースのテキスト処理モデルを使用しており、スパム検出率を40%改善すると同時に、誤検出率を19%減少させることにつながっている。スパムが悪意あるペイロードの主要な媒介者であることを踏まえると、これは軽視されるべきものではない。
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翻訳=高橋信夫

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