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2024.02.14

グーグルがAI製品を「Gemini」にリブランディングした理由

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グーグルは、2023年末に発表した注目の人工知能(AI)モデル「Gemini(ジェミニ)」に全力を注ぎ、人気が高いOpenAIのチャットボット「ChatGPT」に追いつこうとしている。

同社は2月8日、会話型AIの「Bard(バード)」の名称を「Gemini」に変更することを含む、一連の生成AIプロダクトに関する新たな取り組みを発表した。グーグルはまた、Google ドキュメントとGmailで生成AIを利用可能にするサービス「Duet AI for Google Workspace」の名称を「Gemini for Workspace」に変更した。

同社はさらに、Geminiの最も強力なバージョンを使用したプレミアムサービスである「Gemini Advanced」の立ち上げを発表した。このサービスは、高度なコーディングや個別指導のようなタスクを実行可能にするもので、Google Oneに新たに追加される月額19.99ドル(日本では2900円)の「Google One AI Premium」に加入したユーザーが利用できる。

グーグルはまた、Android OS向けの新たなGeminiアプリを発表した。このアプリは、人々がモバイルからより簡単にAIアシスタントにアクセスできるようにすることを意図したもので、iPhoneでは既存のGoogleアプリに追加されるGeminiのタブから同様の機能が利用可能になる。

今回のGemini関連の名称変更は、グーグルのAI戦略が急速に進化していることを裏付けている。OpenAIが2022年秋に公開したChatGPTの成功により、この分野の競争に出遅れたグーグルは、社内で「コード・レッド(非常事態)」を宣言し、長らく不在だった共同創業者のセルゲイ・ブリンが再びコーディングを始めたと報じられた。同社は昨年4月、自社のAI開発チームだったGoogle Brainと、系列のAI企業だったDeepMindを統合し、AIプロダクトの開発を加速させた。

今回の名称変更に関するブリーフィングで、グーグルのバイスプレジデントであるシシー・シャオは「Bardは当社の最先端モデルと会話をするためのツールで、Geminiは私たちの最先端モデルです」と説明した。彼はまた、「当社はただ、消費者が関わっているのがGeminiであることを本当に明確にしたかったのです」と付け加えた。

グーグルは昨年12月に、性能と用途が異なる3つのバージョンのGeminiをリリースすると発表していたが、今回のGemini Advancedの立ち上げに合わせて、最もパワフルなバージョンである「Gemini Ultra」を発表した。最小バージョンの「Gemini Nano」は、グーグルのスマートフォン「Pixel 8 Pro」の機能に使用されている。中レベルのバージョンである「Gemini Pro」は現在、GeminiとしてリブランディングされたBardのチャットボットを動かしている。

サブスク重視が鮮明に

AIのプレミアムプランの導入はまた、グーグルがサブスクリプションを重視する姿勢を強めていることを示している。同社のスンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は先日、Google Oneの加入者が1億人に近づいており、昨年のサブスクリプション全体の売り上げが150億ドル(約2.2兆円)を突破したと述べていた。

一方、YouTubeのニール・モハンCEOは、先日のフォーブスによるインタビューで、YouTubeを広告なしで楽しめる有料プランの「YouTube Premium」と「YouTube Music」の総ユーザー数が、トライアルを含めて1億人を超えたことを発表し、このサービスがようやく同社のビジネスにとって「大きな意味を持つようになった」と述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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