税金や規制のありかたが企業立地や労働者の勤務地に影響することは多くの研究が示しており、ダラス連銀の分析結果は、これをさらに裏づけるものだ。
テキサスは広大な州だ。企業移転の候補地はたくさんある。ただ、ダラス連銀の分析によると、テキサス州に転入した企業の多くはダラスかヒューストンを移転先に選んだ。両都市圏が企業移転にともなって2010~19年に獲得した雇用は8万人を超える。フォートワース、オースティン、サンアントニオでは同時期に、いずれもこの半分以下しか雇用が増えていない。
テクノロジー企業のオースティン移転の話をよく耳にすることを考えると、これは以外な事実かもしれない。電気自動車大手テスラがカリフォルニア州パロアルトからオースティンに移転して注目を浴びたような事例は、企業移転全体から見ればごく少数にすぎないことがわかる。
この10年間のテキサス州の企業・雇用誘致の成功ぶりを見ると、経済学の基本的な見識が今なお通用することに改めて気づかされる。人は、テキサスのように新しいことへの挑戦やイノベーション、事業拡大に取り組むことが可能な州へと移動し、カリフォルニアやニューヨークのような、お役所仕事に縛られる州を去るのだ。また、人は税金の低い州を好む。そのほうが、労働者も起業家も稼いだ金をより多く手元に残せるからだ。
このまま何も変わらなければ、2020年代もこれまでの10年間と同様の展開になると予想される。テキサス州やフロリダ州は成長を続け、カリフォルニア州やニューヨーク州は停滞ないし衰退するだろう。
(forbes.com 原文)