「庭園の墓」との関連は?
では、これが庭園の墓とどう関係があるのだろうか?「大いに関係がある」とテイバーは言う。テイバーは例として、ジェームズの納骨棺が実際にこの墓から出土したものであると結論づけた、2006年の研究をあげた。この研究は最近発表され、大きな話題をよんだものである。イスラエル地質学会のアムノン・ローゼンフェルド率いる科学者チームによって研究が行われた。入念な検査の結果、骨棺に刻まれた文字の内側に見られる古代のパティナは確かに本物であり、碑文の信憑性を裏付けるものであると判明したのだ。
その研究の中で科学チームは、庭園の墓を含む、他の14の埋葬洞窟の納骨棺と洞窟内部の表面に付着したパティナの化学組成についての比較試験と評価分析も行った。「試験は、骨棺は過去2000年間存在していた洞窟の環境に基づいて、特徴的で測定可能な生化学的『サイン』を蓄積するという前提に基づいていた」とテイバーは述べる。互いに近接した2つの洞窟でさえ、異なる化学的特徴を示すであろう。しかし、ヤコブの骨棺は、庭園の墓の壁や天井の化学的特徴も含めて、庭園の墓で調査された骨棺とまったく同じ化学的特徴を持っていたのだ。テイバーによると、これとは対照的に、ジェームズの骨棺の化学組成は、他の13の墳墓の骨棺とはかなり異なっていたという。
テイバーと研究者らによれば、ヤコブの骨棺はもともと庭園の墓にあったものだという。
いつ、どのようにして墓から分離されたのかは謎のままである。しかし、イエスの墓の他の納骨棺と比較して、納骨棺の表面の風化を調べたところ、おそらく古代に略奪されたのであろうが、少なくとも200年間は墓から失われていたことが示唆された。
このように、テイバー(この主張はテイバー一人によるものではない)によれば、ヤコブの骨棺を庭園の墓の遺物と名前の環に加えることで、この墓がイエスとその家族である可能性が統計的にほぼ確実なものになる。
このことは、この墓が実際にイエスとその家族の墓であることを証明しているのだろうか?
テイバーはこの墓について次のように語っている。「私たちは、統計だけがタルピオットの墓がイエスの墓であることを一方的に証明するとは考えていません。しかし、統計的には、よく言われている、エルサレムにある多くの墓はイエスという名前を持つ可能性が高い、という主張が誤りであることがわかります」。
しかし、この話にはまだ続きがある......。
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本稿は「Popular Archaeology」で発表された、Dan McLerranによる「The Jesus Family Tomb」の翻訳である(画像提供:Jeff Jacobs, Pixabay)。