健康

2024.02.12

「孤独」は公衆衛生上の緊急事態、米国の地方当局が宣言

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カリフォルニア州サンマテオ郡の当局は2月1日、人々の孤独を「公衆衛生上の緊急事態」と宣言する決議案を可決し、日本や英国、ニューヨーク州などの当局と並んで、専門家が生命を脅かす症状のリスクの増加を警告しているこの問題に取り組もうとしている。

NBCニュースが報じたところによると、サンマテオ郡の委員会は1日、人々のつながりを促進し、専門家が「米国の伝染病」と呼ぶ孤独や孤立と人々が闘うことを支援するという誓約を含む決議案を可決した。ただし、この決議では、いかなるプログラムも設立されず、資金も割り当てられていない。

カリフォルニア州ではパンデミックが始まる以前から、専門家が人々の「孤独や孤立、つながりの欠如」についての警鐘を鳴らしており、ニューヨーク州は昨年11月に、深刻化する社会的孤立の問題に対処するための「孤独の名誉大使(honorary ambassador to loneliness)」を任命していた。また、世界保健機関(WHO)も同月「社会的つながりに関する委員会」を発足させており、日本や英国もこの問題への対処を開始している。

メタとギャラップが140カ国以上の人々を対象に行った調査で「非常に孤独を感じている」、あるいは「かなり孤独を感じている」と答えた15歳以上の人々の割合は、24%に達していた。

この2社が公開した「社会的つながりの世界の状況」レポートでは、アフリカと南西アジアの人々が最も孤独であると指摘された。アフガニスタンやナミビア、ジンバブエ、マダガスカル、ウガンダといった国々では、少なくとも40%の人が「とても孤独」もしくは「かなり孤独を感じている」と報告している。一方、最も孤独でない国は、ロシアやドイツ、ウクライナ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどで「とても孤独」または「かなり孤独」と回答した人の割合は10%未満だった。

米国では、15%の人々が「非常に孤独を感じている」、もしくは「かなり孤独を感じている」と回答し、36%が「少し孤独を感じている」と回答し、59%は「まったく孤独を感じていない」と回答した。

孤独に関する懸念は医学界では目新しいものではなく、研究によれば、孤独は精神的・肉体的健康の両方に有害な影響をおよぼす可能性がある。米国国立医学図書館が発表した研究によると、孤独感に悩む人は、うつ病やアルコール依存症、人格障害、アルツハイマー病、関節リウマチ心血管疾患などに直面する可能性が高い。

愛する人の死や定年退職などの人生の劇的な変化によって突然孤独になった人は、さまざまな精神的・身体的疾患にかかるリスクが高くなる可能性があると米国立老化研究所は述べている。米政府のビベック・マーシー医務総監は、昨年のニューヨーク・タイムズの論説で、孤独にともなう早死のリスクを、世界的に予防可能な死因の第一位とされる日常的な喫煙と比較していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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