健康

2023.11.16

ジョン・レノンも行なった「絶叫療法」、再び関心を集める

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最近では、大人であることが意味するのはとてつもなく「燃え尽き」を感じ、常についてまわる「不安」を抱えながら生きることのようになっている。つまり、休暇にはかつてないほど「浄化が求められる」ようになっているということだ。

そこで、英国にあるホテルが試験的に、新たなウェルネスプログラムを導入した。それは、高額な機器に費用をかけることもなく、抑圧された感情やストレスを発散できるというもの──ただ大声で叫ぶというものだ。

専門用語では「原初療法(プライマル・セラピー)」と呼ばれるこの「絶叫療法」は、1970年代に心理学者のアーサー・ヤノフが考案したもので、一時は自己啓発の分野で高い関心を集めた。「神経症は抑圧されている幼少期のトラウマ(心的外傷)によって引き起こされている」との概念に基づいている。

幼いころの経験を思い出し、追体験し「自発的に、抑制されることなく叫ぶ」ことによって、鬱積していた怒りやフラストレーションを解放することができれば、すべての病のうち80%は癒すことができるとされている。

ジョン・レノンやオノ・ヨーコなどが頼ったこの療法だが、科学界においては、それほどの効果が認められるものとは評価されていない。メンタルヘルスの専門家たちは当時も現在も、この療法を(科学的な根拠がなく、実証も反証もできない)疑似科学の領域から抜け出さないものとみなしている。

とはいえ、叫ぶことはエンドルフィン(多幸感をもたらすホルモン)の放出を促すことにつながる。私たちを一時的に、ストレスや緊張から解放してくれるはずだ。試しに絶叫してみても、損はないだろう。

体験できるお勧めの場所

余計な注目を浴びることなく、心置きなく絶叫できる場所は、それほど多くない。だが、イングランド北西部の湖水地方にあるアーマスウェイト・ホール・ホテルに行けば、スパが提供するプログラムを体験することができる。関心があれば、滞在を検討してみるのもいいかもしれない。

風格ある大邸宅のようなこの施設は、カンブリア郡のケズウィックにあるバセンスウェイト湖に近く、面積およそ400エーカー(約1.6平方キロメートル)の人里離れた、鹿の保護区も含む森のなかにある。広大な敷地内であれば、絶叫しても、誰に迷惑をかける心配もない。

プログラムは、基本的には1人で体験するものとされているが、アドバイスを提供するウェルネスの専門家もいる。また、いっしょに滞在している家族や友人、その他の利用客といっしょに参加することもできる。

大声で呼ぶことは「感情面での緊張を和らげ、不安を軽減し、深い安堵感を得るとともに、ウェルビーイングを向上させる効果的な方法」だという。ホテルは「あなたに必要なのは、深呼吸すること、空を見上げること、そして叫ぶことだけ」と説明している。

アーマスウェイト・ホールのスパはそのほかにも、森の中で深呼吸をしながら自然を感じる森林浴や、鹿やアルパカと触れ合うアニマルセラピーなど、あまり一般的ではないセラピーを提供している。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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