「サーキュラー・エコノミーにはさまざまなステークホルダーとパートナーシップを組み、すべてのバリューチェーンを巻き込む必要がある。今回のダボスでも石油化学関連企業や世界有数の石油会社のリーダーに出会い、我々の技術を知ってもらい、どのように協力しながらスケールアップできるかを話し合うことができた」
今年の年次総会には12人のトップ・イノベーターが招待され、自社が手掛けるテクノロジーやソリューションを披露した。世界の起業家たちはどんな「打ち手」を持っているのか。パートナーシップを通じてそれらをどう活用し、互いの事業と社会に貢献できるのか。アップリンクの取材を通じて見えたのは、自らの信じる道を語り合い、ともにコレクティブ・インパクトの創出に挑むリーダーたちの姿だった。
どんなに革新的なソリューションがあっても、たったひとりで世界を変えることはできない。信頼できる仲間の存在を推進力にしながら希望の光を灯し続け、希望を現実に変えていく。それこそがイノベーション・エコシステムの真髄だろう。マンドゥリス・エナジーのニーコは言う。
「今年の年次総会のテーマである『信頼の再構築へ』(Rebuilding Trust)という言葉に、私は『希望に力を』(Powering Hope)という2つのワードを付け加えたい。私たち人類が今日、産業とテクノロジーの最前線にいるのは、絶え間ないイノベーションによって私たちをここまで導いてくれた先祖、先祖代々の家長そして両親のおかげだ。しかし、私たちは悲しいかな、時にイノベーションの重要性や『Kaizen(カイゼン)』という言葉が持つ重要な意味を忘れ、継続的な改善というレガシーを受け継ぐことを忘れてしまう」
「(信頼を再構築するには)まずは人類、そして私たちの大切な拠り所である母なる地球への信頼を再構築することだ。そのような角度から自分自身を見つめるとき、『カイゼン』の遺産を受け継ぐ仲間として信頼することはとても容易になる。克服できないほど困難な問題はない。私たちに遺されたレガシーは不可能を可能にする。私たちが求める答えは世界中のどこからでも、誰からでも得ることができると気づかせてくれる。そして最後に私たちにこう問いかけるのだ──『追い詰められた状況から奇跡の復活を遂げるとしたら?』と」