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2024.02.08 11:15

【ダボス現地リポート(6)】世界のトップイノベーターが語る、インパクト創出に必要なこと

オープンフォーラムの2日後、ニーコに話を聞いた。この1年で、マンデュリス・エナジーはウガンダとイギリスの2カ国だけだった事業拠点を、アジアを含む3大陸の12カ国にまで拡大する勢いだ。また、同社は今後3年以内に現在の約10万世帯から100万世帯以上にサービスを提供する計画だという。

「農村の農業コミュニティに手頃な価格で信頼できる持続可能な再生可能エネルギーやクリーンな調理、グリーン水素、持続可能燃料、バイオ炭をベースとした有機バイオ肥料へのアクセスを提供するとともに、年間100万トン以上の高品質で追跡可能な二酸化炭素の長期的な除去を実現する。アップリンクのエコシステムのサポートがなければ、このような迅速かつ効果的な動きはできなかっただろう」とニーコは言う。

具体的に、アップリンクの何が彼らの事業をスケールアップさせたのか。ニーコは世界中のリーダーにアクセスできる環境やアップリンクが作成した事業紹介ビデオの存在、アクセンチュアをはじめアップリンク・コミュニティで得たパートナーたちの協力などを挙げたうえで、トップ・イノベーター同士が学び合うことの価値を強調する。

「トップ・イノベーターたちは、世界で最も差し迫ったいくつかの課題に対して革新的な解決策を提示している。アップリンクは私たちに、卓越性にコミットする緊密で多様な実践コミュニティをもたらした。私たちは互いに学び合う。なぜなら、同じ道を歩んだことのある人こそ最高の教師だからだ。私たちは仲間から、そして先人たちから学ぶことができる」

志を共にするイノベーターとの出会いに価値があるという声は他のトップ・イノベーターからも聞かれた。南アフリカに拠点を構え、テクノロジーを通じて小規模漁業者を支えるABALOBI共同設立者兼マネージング・ディレクターのセルジュ・ラマカースは、「(アップリンクのコミュニティで)私が特に楽しんでいるのは起業家仲間から学ぶ機会だ」と話す。

ABALOBI共同設立者兼マネージング・ディレクターのセルジュ・ラマカース

ABALOBI共同設立者兼マネージング・ディレクターのセルジュ・ラマカース

学びを実践につなげるためには金銭面を含めたさまざまな資本が不可欠だ。ラマカースはアップリンクのコミュニティに参加するメリットとして、企業の成長を後押しするアクセラレーターやインキュベーターなどとつながる機会の多さを挙げる。

「私たちのビジネスの使命と価値を高めてくれる潜在的なパートナーとのつながりを組織し仲介することは、アップリンクが最も得意とするところだろう」
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瀬戸久美子=文 写真=世界経済フォーラム

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