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2024.02.07

アップルが未来を託す「サービス部門」、過去最高の粗利率73%を達成

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アップルが2月1日に発表した2024年第1四半期(10月~12月)決算は、売上高が1196億ドル(約17.7兆円)と前年に比べて微増となった。しかし、より注目すべき点は、サービス部門の売上高が過去最高の231億2000万ドル(約3.4兆円)を記録したことだ。

それがなぜ重要なのかを明らかにするためには、同社の損益計算書を確認する必要がある。アップルの第1四半期の売上高は、製品部門が965億ドル(約14.3兆円)でサービス部門が231億ドルだった。しかし、製品部門の製造・販売コストは584億ドル(約8.7兆円)で、粗利益が381億ドル(約5.6兆円)だったのに対し、サービス部門のコストはわずか63億ドル(約9300億円)で、粗利益は150億ドル(約2.2兆円)を上回った。粗利率は、製品部門が約40%だったのに対し、サービス部門は73%を記録した。

アップル製品の粗利率は、ハードウェアメーカーの中では極めて高い。しかし、サービス部門の粗利率はその2倍近くもある。だからこそ、同社は音楽やストレージ、ニュース、映画、テレビ番組、アプリ内課金の売上拡大を強化しているのだ(上記の粗利率には、いずれも運営費や研究開発費などの経費は含まれていない)。

ただし、同社の稼ぎ頭は依然としてiPhoneであり、総売上高の60%近くを占め、MacやiPad、ウェアラブル、サービスなど、他のすべてのカテゴリーを凌駕している。各カテゴリの売上高は以下の通りだ。

・iPhone:697億ドル(約10.3兆円)
・Mac:78億ドル(約1.2兆円)
・iPad:70億ドル(約1兆円)
・ウェアラブル、ホーム、アクセサリー:120億ドル(約1.8兆円)
・サービス:231億ドル(約3.4兆円)

最近発売されたVision Proも、いずれ新たなカテゴリとして追加されるだろうが、当面は成否を隠すためにウェアラブル部門に括られる可能性が高い。アップルのティム・クックCEOは、決算発表の中で、同社がiPhoneの売上好調により10~12月期の増収を達成し、サービス部門の売上が過去最高を記録したと語っていた。

しかし、アップルのサービス部門にはリスクもある。EUのデジタル市場法に対する最近のアップルの対応は、アプリ内課金の手数料率30%を保護するためのものであり、同社は今後、法的およびビジネス上の課題に直面することが予想される。EUデジタル市場法は、ハイテク各社のアプリストアとアプリ内決済にオープンな競争を義務付けている。

アップルはまた、中国でも困難に直面している。中国は、同社にとって今四半期に収益が減少した唯一の地域だ。

世界中で保護主義が台頭し、米中間の地政学的緊張が高まる中、アップルの中国における売上高は30億ドル(約4400億円)近く減少した。同社製品は中国で依然として人気が高く、調査会社IDCが1月25日に発表したレポートによると、iPhoneは昨年、中国のスマートフォン市場の出荷台数で史上初の1位を記録した。しかし、市場全体の縮小と米中間の緊張の高まりは、同社の中国でのビジネスに暗い影を落としている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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