アジア

2024.02.05

「中国経済」依然として見通し暗く 輸出微増も根強いデフレ

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苦難に満ちた2023年を経て、12月に明るい兆しが見えてきた中国経済。輸出がわずかに増加し、デフレのペースも緩やかになった。だが、このニュースを鵜呑みにしてはいけない。いくつかの無意味な統計上の変動を除けば、中国経済の改善を示す要素は何もない。それどころか、最近の一連の情報は、中国経済の問題が現在も続いており、深刻であることを裏付けている。

その最たるものがデフレの継続だ。中国国家統計局によると、昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%の下落だった。前月に記録した0.5%の下落からわずかに改善したとはいえ、このような前月比の変動を過大に扱うことはできない。はっきりしている事実は、物価が下落しているということであり、昨年3月から断続的に下落が続いている。生産者物価指数(PPI)はさらに悲惨な状況を示している。昨年12月は前年同月比で2.7%低下し、15カ月連続の下落となった。

中国が苦しんでいる根強いデフレが示すものはただひとつ、需要不足だ。アナリストたちは月ごとに数字の分析を楽しむかもしれない。どの物価が平均の足を引っ張っているのか、あるいは傾向に逆らっているのかを議論することができる。

昨年12月のデータでは、食料品価格の下落がデフレを主導しているように見える。だが、このような分析は、例えば事業者らが製品構成の変更に備える場合に利用できるとしても、広範な経済分析ではさほど意味を持たない。指数は月ごとに変化しており、翌月も間違いなく変化するだろう。読み取れることは、デフレがまだ続いているということだ。

深刻な需要の問題の一因は、輸出の減少にある。昨年12月は前月からわずかに増加しており、国家統計局によると、前年同月比で2.3%増だった。輸出に大きく依存する中国経済にとって、このような増加は軽い励みになる程度だ。この成長率は、直近では2022年や2023年初めに記録された年10%以上の増加には遠く及ばない。輸出依存型の経済にとって、最近の伸びは実に取るに足りないものだ。
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翻訳=溝口慈子

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