さらに言えば、わずかな増加はすべてロシアへの輸出によるものだった。同国への輸出は前年同月比46.9%増という驚異的な伸びを示したが、これは窮地に陥っているロシア経済が到底維持できるとは思えないペースだ。昨年12月の対米輸出は前年同月比6.9%減、対EUは同1.9%減。東南アジア諸国連合(ASEAN)向けも同6.14%減だった。こうした地域は、依然として輸出に大きく依存している中国経済が、全体的な成長率を許容できるものにするために必要な輸出相手だ。西側諸国における信用コストが低下するとの見通しに希望を見出す向きもあるが、そのような動きは早くても今年後半までなさそうだ。
また、中国の内需は輸出減の分を補っていない。中国は多くの設備や消費財を輸入しているが、内需の弱さが輸入の数字に表れている。2023年12月の輸入は前年同月比で0.2%増えた。これは年初の10%近い落ち込みからすると改善ではあるが、景気回復を示しているとは言い難い。中国政府は過去1年半ほどにわたって景気刺激策を推し進め、中央銀行の中国人民銀行(PBOC)は借入コストを引き下げてきただけに、この結果はなおさら期待外れだ。このような取り組みでも効果を生まないということは、よほど頑固な問題なのだろう。
そして、この景気減速の理由は誰の目にも明らかだ。過去2年間の不動産開発部門の低迷は、中国の金融市場に疑わしい債務を残し、公共投資と民間投資の両方における新規投資の資金調達能力、ひいては成長を妨げている。不動産部門の崩壊は、つい最近まで中国経済を引っ張ってきた住宅建設にも打撃を与えた。同時にこれらの問題は、住宅価格を下落させて家計の純資産を押し下げており、特に輸出の低迷もあって中国がいま必要としている個人消費を抑制している。
中国は、1997年から始まったアジア通貨危機以来となる本格的な景気後退を、まだ回避できるかもしれない。そうだとしても、今年の経済見通しが明るいものであるとは言い難い。というのも、少なくとも世界の他の地域が急成長するとは思えないからだ。
(forbes.com 原文)