ゲームがコミュニケーションツールに
東:私が注目しているのは、eスポーツカフェです。もともとは秋葉原でゲーム用のデバイスを販売しているお店が始めたもので、最新のPCデバイスを試しながらゲームで遊べる、時間制のカフェになっています。私は中学生のころによく通っていたのですが、それが今全国で徐々に増えているんです。それに加えて、eスポーツホテル(ゲーミングホテル)という、ゲームができるホテルもでき始めていて。
カフェやホテルはもともと人が集まって話す場だったり、空間を大事にする場だったりするわけですが、そこにeスポーツをうまく掛け合わせることで、ゲーマー同士のコミュニティが広がる場になっています。
白武:ゲームがコミュニケーションツールになっているわけですね。
東:そうです。私もそういった経験があります。私は小さいころからゲームが好きで、それをあまり良く思っていなかった母親とずっと反発し合っていたんです。でも、私が高校1年生のときにeスポーツの全国大会で6位に入ってから認めてもらえるようになり、父母と3人で一緒にゲームを楽しむようになりました。今ではゲームが家族間のコミュニケーションにすごく役立っていると感じるので、ゲームをコミュニケーションに活用するという考え方がもっと広がるといいなと思っているんです。
あとは、メタバースにも注目しています。メタバースとは、アバターを通してさまざまな活動を行うことができるバーチャル空間のこと。VRもメタバースのひとつで、例えばバーチャル空間に実際の美術館を再現して、そのなかに入って展示を見て回れる、といったことができます。3Dモデルさえあれば何でも再現できるので、私の母校のN高等学校でも、バーチャル空間に学校を再現することで大学のオープンキャンパスを体験できるという取り組みがありました。可能性は非常に大きいので、今後ジャンルを問わず広がっていくだろうなと思っています。
白武:VRオープンキャンパス、校長の赤荻さんにとっては参考になりそうですね。
赤荻:そうですね、渋女(渋谷女子インターナショナルスクール)でも取り入れていかなきゃ。
頭をつかうエンタメの魅力
白武:メタバースが盛り上がる一方で、やっぱりリアルもいいよなと思います。新宿に、リアル脱出ゲームを体験できる「東京ミステリーサーカス」というテーマパークがあって、その最上階にある「9rooms」シリーズが面白いんです。一つひとつの部屋の謎を解きながら進み、連続する9つの部屋から脱出してクリアを目指すというゲームで、ストーリーは定期的に替わります。あるときは暴走した列車を止めるために先頭車両を目指す、という設定だったのですが、ストーリーのなかに入り込んで、制限時間に追われて焦りながら謎を解くというリアルな体験がすごく面白かった。